首相 自衛隊派遣に3つの基本的判断基準

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安倍総理大臣は、安全保障関連法案を審議する衆議院の特別委員会で、法案に基づく自衛隊の派遣について、▽外交努力を尽くしたうえで、▽わが国の主体的な判断のもと、▽自衛隊の能力や装備などにふさわしい役割を果たすことの3点を、基本的な判断基準とする考えを示しました。
この中で公明党の北側副代表は、「国際平和支援法案」に基づく国際貢献のための後方支援について、「国際法上の正当性という観点から国連決議があるということを絶対条件にし、国会の関与のところでは例外なき国会承認と、非常に厳しい縛りを第1番目、第2番目でかけている。厳し\xA4 ね弖錣砲靴人鑲海鯏絜┐討曚靴ぁ廚伴遡笋靴泙靴拭\xA3
これに対し安倍総理大臣は、「国際法上の正当性の確保のため、措置が国際法上、適法なものであることに加えて、わが国が支援する諸外国の軍隊等の活動を当該外国が行うことを決定する国連決議や、問題となる事態に関連して国連加盟国の取り組みを求める国連決議がある場合のみ、認められるとしている」と述べました。そのうえで安倍総理大臣は、「国会の関与等の民主的統制については、国際平和支援法が一般法であることに鑑みて、国民の理解を十分に得つつ、民主的統制を確保する観点から、例外なく国会の事前承認を必要としている」と述べました。
また、安倍総理大臣は、安全保障関連法案に基づいて自衛隊を派遣する判断基準について、「わが国の主体的判断のもと、自衛隊の能力、装備、経験に根ざした自衛隊にふさわしい役割を果たすが、その前提として、外交努力を尽くすことを重要な基点として、政策判断を下していく。この3点を、政策判断をしていくうえで基本的な判断基準としていきたい」と述べました。
さらに、安倍総理大臣は、外国軍隊への後方支援が可能となる「重要影響事態」について、「実際に武力紛争が発生し、または差し迫っているなどの場合に、事態の個別具体的な状況に則して、主に当事者の意思、能力、事態の発生場所、事態の規模、対応、推移をはじめ、当該事態に対処する、日米安全保障条約の目的の達成に寄与する活動を行う、アメリカ軍、その他の外国の軍隊などが行っている活動の内容などの要素を総合的に考慮して、わが国に戦禍が及ぶ可能性、国民に及ぶ被害などの影響の重要性などから客観的、合理的に判断する」と述べました。
民主党の長島元防衛副大臣は、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態への対処について、「ホットスポットが集中する日本周辺の情勢を踏まえて、何をすべきか。1つは領域警備だが、この法制度を今回の法案の中に見つけることはできない。非常に残念で、端的に言って現行法制度では領域警備への対応は不十分だ」と指摘しました。
これに対し安倍総理大臣は、「あらかじめ、しっかりと海上保安庁自衛隊も連携をとっていて、確実に総理大臣が判断し、閣議で決断ができるということがとても大切だ」と述べました。
そのうえで安倍総理大臣は、民主党がグレーゾーン事態に対処するための「領域警備法案」の提出を検討していることについて、「自衛隊海上保安庁に代わって警察権を持って並存するという形では、ミリタリー対ミリタリーの衝突が直ちに起こってしまう危険性がある。あくまでも、相手が海上保安庁に対応する組織であれば、海上保安庁が出て行く。それが無理であれば自衛隊が出て行く。この速やかなスイッチが可能になることが大切だ」と述べ、今回の安全保障法制の整備によるグレーゾーン事態への対応で十分だという認識を示しました。
一方、委員会の冒頭、浜田委員長は、野党側が、安倍総理大臣の答弁が長すぎると批判していることを踏まえ、「委員会の審議には、国民も大変、注視している。安倍総理大臣をはじめ各大臣も、国民に分かりやすい簡潔な答弁をするようお願いを申し上げる」と述べました。これに対し安倍総理大臣は、「私としては、国民に分かりやすく丁寧に答弁しているつもりだが、簡潔に答弁することの大切さを踏まえて今後とも留意していく考えだ」と述べました。
また、中谷防衛大臣兼安全保障法制担当大臣は、27日の質疑で維新の党の柿沢幹事長に対し、「武力の行使と武器の使用の違いが本当に分からないのか。それが分からないと議論できない」などと述べたことについて、「私の発言は大変不適切なもので、この場を借りておわびを申し上げる」と陳謝しました。