安保関連法案 政府案や対案に対し質疑

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安全保障関連法案を審議する衆議院の特別委員会で、政府案や、維新の党が提出した対案などに対する質疑が行われました。維新の党の対案の提出者は、政府案について「防衛力の強化が必要だという意味で方向性は共通の認識がある」と述べる一方で、集団的自衛権を行使する要件が広すぎると指摘しました。
このなかで、自民党の岩屋・元外務副大臣は「わが国の防衛のために活動しているアメリカ艦船が攻撃された場合、わが国も武力を行使し、攻撃を排除しなければいけない場合がある」と指摘しました。
これに対し、民主党維新の党の法案の提出者である民主党の大串・国会対策副委員長は、「個別的自衛権でやれるところがあるのではないか。武力攻撃の着手の議論をもう少し深めていくのが、ありうべき手段だ」と述べました。
また、維新の党の対案の提出者である維新の党の今井・政務調査会長は、「防衛力の強化が必要だという意味で、方向性は共通の認識がある」と述べました。
公明党伊佐進一衆議院議員は、「維新の党の対案が自衛のためで目的が同じなら、政府案を『合憲性バツ』と指摘するのはおかしい」とただしました。
これに対して、維新の党の今井氏は「政府案は『構成要件があいまいで違憲だ』という意見がたくさんある。直接、武力攻撃を受けていない事態でも、新3要件に当たれば適用できるという構成要件は広すぎる」と指摘しました。
民主党の後藤・政策調査会副会長は、政府が集団的自衛権の行使の事例として挙げている、日本周辺で有事が起きた際の公海上での日本人を輸送しているアメリカ艦船の防護について、「艦船に対する攻撃の着手がない段階で、何ができるのか」とただしました。
これに対し、中谷防衛大臣兼安全保障法制担当大臣は、「アメリカに武力攻撃が発生したあと、アメリカ艦船に対する攻撃が『存立危機武力攻撃』であれば、終結させるため排除に必要な措置を実施するが、そうでなければ艦船の防護はできない」と述べました。そのうえで、中谷大臣は「個別具体的な状況に即して、政府がすべての情報を総合し、客観的、合理的に判断する。攻撃の着手の有無を含め、艦船にどのような事態が発生すれば『存立危機事態』になるかは一概に言えない」と述べました。
一方、中谷大臣はPKO協力法の改正で可能となる「安全確保業務」について、「防護を必要とする住民の生命や財産に関する危害の防止や、保安のための監視、巡回、検問に限られ、治安維持業務そのものはできない。派遣先国の警察権の補完や代行であり、犯罪捜査や逮捕といった警察権を執行する業務は含まれない」と述べました。
維新の党の水戸将史衆議院議員は、グレーゾーン事態に対処するため民主党維新の党が共同で提出した「領域警備法案」に関連して、「安全保障法制というのならば、グレーゾーン事態に対処する法制化の優先順位のほうが高い」と指摘しました。
これに対し、中谷大臣は「海上警備行動や治安出動を発令する手続きを迅速化する閣議決定を行い、警察や海上保安庁などの関係機関が、対応能力の向上や相互の連携を強化させるなどして、切れ目のない十分な対応を確保するための態勢が整備できた。新たな法整備が必要と考えていない」と述べました。
共産党の宮本徹衆議院議員は、防衛装備品の調達費用について、「政府の法案が通れば、装備体系もアメリカの戦争支援がいろんな形でできるようになり、厳しい財政状況のなかで未来の世代にまでしわ寄せがいく」と批判しました。
これに対し、中谷大臣は「防衛大綱に基づいて計画的に防衛力を整備しており、長期契約の導入など、一層の効率化や合理化を図っている。国民に見えにくい形で未来世代の負担を増やしていることはなく、常に公開しながら整備している」と述べました。