18歳以上に選挙権 衆院で実質審議開始

参照元 18歳以上に選挙権 衆院で実質審議開始

衆議院の特別委員会で、選挙権が得られる年齢を18歳以上に引き下げる公職選挙法の改正案の実質的な審議が始まり、提出者の議員は、今後、学習指導要領を改訂して新たに有権者になる高校生への主権者教育を柱の1つに位置づけるべきだという考えを示しました。
自民党民主党など与野党6党などが提出した、選挙権が得られる年齢を現在の20歳以上から18歳以上に引き下げる公職選挙法の改正案は、28日に開かれた衆議院の特別委員会で実質的な審議が始まりました。
この中で、自民党の井野俊郎衆議院議員が選挙権年齢の引き下げの意義を質問したのに対し、提出者の自民党の船田憲法改正推進本部長は「できるだけ多くの若い人々が政治に参加することが民主主義の価値を高めることにつながり、若い人々に資する政策に政党が目を向けることにもつながる」と述べました。
また、公明党の國重徹国会対策副委員長が「今後、学校でどのように政治に関する教育を行っていくのか」と質問したのに対し、提出者の公明党の北側副代表は「国や社会の問題を自分たちの問題として捉え、主権者としての素養を身につける教育を充実させることが大変重要だ。学習指導要領を改訂し、主権者教育を柱に位置づけることが重要になる」と述べました。
さらに、民主党宮崎岳志衆議院議員が教育現場での政治的な中立性を巡り、「どこまで政治活動が許されるのかを確定させる必要があるのではないか」と質問したのに対し、提出者の民主党の武正元財務副大臣は「選挙運動の自由と教育の政治的中立性のバランスを図るため、自主的な規制が適切になされるべきだ」と述べ、学校が校則などで自主的に対応すべきだという考えを示しました。
維新の党の牧義夫元厚生労働副大臣民法の成年年齢と関連して、「今後、民法少年法も改正するということか」と質問したのに対し、提出者の維新の党の井上英孝衆議院議員は「なるべく早く成年年齢を18歳に引き下げるよう、可及的速やかに検討したい」と述べました。
一方、共産党塩川鉄也国会対策副委員長が「憲法改正の是非を問う国民投票の前の国政選挙で18歳選挙権を実施しておきたいという改憲派の意図のもとで、改正案の成立を急いでいるのではないか」と質問したのに対し、自民党の船田氏は「きっかけが国民投票法の成立や改正だったことは事実だが、憲法改正うんぬんではなく、民主主義の一層の発展のため若い人々が政治に関心を持ち、若者のための政治ができるようにということが理由だ」と述べました。
今後、審議が順調に進めば改正案は今の国会で成立し、来年の参議院選挙から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられる見通しです。