安保実質合意、課題先送り 「拡大」「歯止め」最後まで

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 安全保障法制をめぐる自民、公明両党の与党協議は18日、実質合意を迎えた。自衛隊の海外活動をできるだけ広げたい政府・自民に対し、歯止めを求める公明という構図は最後まで続いた。両者が折り合えなかった課題は4月の法案作成時まで先送りされ、あいまい決着となった。

■後方支援:米軍以外への支援で溝

 「現時点で共通認識に至った点をまとめた」(自民党高村正彦副総裁)

 「残された課題は実際の条文案を見て議論しなければならない」(公明党北側一雄副代表)

 18日の与党協議の冒頭、両者は共同文書についてこう語った。

 政府・自民に対して公明は、国際法上の正当性▽国民の理解と民主的な統制▽自衛隊員の安全確保という3原則を掲げてきた。与党協議の焦点は、この3原則がどこまで法案づくりに反映されるかに絞られた。

 両者の対立が際立ったのは、戦争中の他国軍に対する自衛隊の後方支援をめぐる法整備だった。昨年7月の閣議決定は従来の「非戦闘地域」という概念を取りやめ、その場で実際に戦闘が起きていなければ自衛隊に補給や輸送などの後方支援ができるように定めた。

 共同文書は、「我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態」には周辺事態法の抜本改正で対応し、それ以外の「国際社会の平和と安全」に向けた後方支援は新たに定める恒久法(一般法)をもとにする二本立てとなった。

 抜本改正する周辺事態法は「周辺事態」という概念を削除し、新たに定める「重要影響事態」では米軍のほか他国軍も支援できるようにする。ただ、米軍以外の他国軍をどこまで認めるかをめぐり、自公の意見は一致していない。

 共同文書は「日米安保条約の効果的な運用」に寄与するかどうかを判断基準とした。だが、自民党幹部は「この判断基準を実際に法案の条文にどう書き込んでいくかは難しい」と話す。

 一方、恒久法について共同文書は、国際法上の正当性について「国連決議か関連する国連決議」がある場合と限定。自衛隊員の安全確保策でも「隊員の安全の確保のための必要な措置を定める」と記し、公明の要求に配慮した書きぶりとなった。