後方支援巡る法整備の骨格案 公明が懸念

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安全保障法制の整備に向けた与党協議が開かれ、政府は自衛隊による外国軍隊への後方支援について、国際社会の平和と安定のための支援は恒久的な法律=恒久法として新法を制定するなどとした法整備の骨格案を説明しました。
これに対し、公明党からは「支援する外国軍隊の活動内容が多岐にわたるのに、1つの法律で対応できるのか」といった懸念が出され、引き続き議論することになりました。

20日開かれた与党協議で政府が説明した、法整備の骨格案によりますと、これまでそのつど特別措置法を作って対応してきた国際社会の平和と安定のために行う自衛隊による外国軍隊への後方支援は、恒久的な法律=恒久法を新法として制定する一方、日本の平和と安全を確保するために活動する外国軍隊への後方支援は周辺事態法を改正して対応するとしています。このうち新法では後方支援の対象として、国連決議に基づいて活動する多国籍軍だけでなく、自衛権に基づいてテロの脅威を取り除く活動を行う外国軍隊なども含めるとしています。
一方、周辺事態法の改正では、外国軍隊への後方支援などには地理的な制約を設けるべきではないとして「周辺事態」という概念を用いないとし、支援の対象をアメリカ以外の国の軍隊にも広げるとしています。
これについて、自民党からは「今の安全保障環境を踏まえ、そのつど特別措置法で対応するのではなく、迅速に対応できるようにすべきだ」などとして、恒久法を制定するとした政府案に賛同する意見が出されました。
一方、公明党からは「支援する外国軍隊の活動内容が武力行使を目的にしている場合や、そうでない場合など、多岐にわたるにもかかわらず、1つの法律で対応できるのか」といった懸念が出されました。
また、公明党から、周辺事態法の改正についても「『周辺事態』という概念をなくせば、法律の性格が変わるので法の趣旨を改めて明確にすべきだ」といった意見が出され、来週も引き続き議論することになりました。

「『周辺事態』取ったほうがいい」

与党協議の座長を務める自民党の高村副総裁は記者会見で、「さまざまな意見が出たが、まだ、まとまるところには全く来ていない。外国軍隊への後方支援の在り方を巡って、自民・公明両党の間で、どういう法形式に分けていくかで一致していないところがあり、しっかりと議論していきたい」と述べました。
また、高村氏は周辺事態法の改正に関連して、「地理的な概念であると誤解されないよう政府は『周辺事態』ということばを取ったほうがいいのではないかと思っている」と述べました。
さらに与党協議に出席した自民党幹部の1人は記者団に対し、「『周辺事態法』という名前はなくなる」と述べました。

「法律の趣旨は変わらず」

公明党の北側副代表は記者会見で周辺事態法の改正に関連して、「今の法律にある『わが国の平和と安全に重要な影響を与える事態』に対応をするという法律の趣旨は変わらないし、政府側も法の趣旨を変えるつもりは毛頭ないのではないか」と述べました。
また、北側氏は「自衛隊による後方支援はアメリカ軍が中心だとはいうものの、ほかの国の軍隊も一緒になって日本を防衛するために活動しようというのであれば、その必要性を具体的に法律にどう書き込むかという問題が残っている」と述べました。