自公が安保法制の具体的方向性で正式合意 法案化へ

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安全保障法制の整備に向けた与党協議が開かれ、自民・公明両党は、集団的自衛権の行使を可能にするとともに、特別措置法で対応してきた外国軍隊への後方支援について、恒久法を新法として制定するなど、政府に法案化の方針を示す「具体的な方向性」で正式に合意しました。これを受けて、政府は法案化のプロセスに入り、来月中旬に再開される与党協議を経たうえで、大型連休の後の5月半ばには、国会に法案を提出したい考えです。
20日に開かれた与党協議の冒頭、座長を務める自民党の高村副総裁は「現段階でできることについて一応の決着をみた」と述べました。
また、座長代理を務める公明党の北側副代表は「今後、政府に法案の条項案の作成に努めてもらい、改めて緻密な議論を進めたい」と述べました。
そして、自民・公明両党は、高村・北側両氏がまとめた政府に法案化の方針を示す「具体的な方向性」で正式に合意しました。
この中では、公明党が求めてきた「国際法上の正当性」、「国民の理解と民主的統制」、それに「自衛隊員の安全確保」の3原則を前提に、「切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備する」としています。
そして、憲法解釈の変更によって容認された、集団的自衛権の行使については、武力行使の新3要件に該当する「新事態」に対応するため、自衛隊が防衛出動し、武力を行使できるよう自衛隊法などを改正するとし、この「新事態」の定義などは武力攻撃事態対処法に明記するとしました。
また、焦点となっていた、国際社会の平和と安全のために活動する外国軍隊への後方支援について、そのつど特別措置法をつくって対応してきたこれまでの方針を見直し、恒久法を新法として制定するとしています。
そのうえで、後方支援の対象となる活動は、「国連決議に基づくものであること、または関連する国連決議があること」とし、「国会の事前承認を基本とする」ことが盛り込まれました。
一方、20日の協議で、自民・公明両党は、統一地方選挙の前半が終わる来月の第3週に協議を再開することを確認しました。20日の合意を受けて、政府は法案化のプロセスに入り、再開される与党協議で了承を得たうえで、大型連休の後の5月半ばには、国会に法案を提出し、今の国会での成立を目指す方針です。
自民党の高村副総裁は与党協議のあと記者会見し、「合意は、あくまでも現時点の具体的な方向性についての一致であり、来月中旬くらいまでに政府に法案の条文をつくってもらったうえで、与党協議を再開し、しっかり審議をする。法案の閣議決定は5月中旬に予定されており、それまでに間に合わせるようにしたい」と述べました。
また、同席した公明党の北側副代表は「私も同様の考えだ」と述べました。
公明党の北側副代表は記者団に対し、「取りまとめた文書の冒頭に、自衛隊が海外で活動するための全体を通じた原則として、われわれが求めた3原則を盛り込むことができたので、今後、法律の条文の中でも、チェックしていくのが大きな仕事だ」と述べました。また、北側氏は、集団的自衛権の行使で、武力行使の新3要件によって、新たに武力行使が可能となる「新事態」の定義について、「今後、具体的な条文が出てくる中で、どういう事態が該当するのかを整理していきたい」と述べました。

国会周辺では反対の集会

安全保障法制を巡り、国会周辺には、今後の議論の行方に懸念を示す人たちが集まり、海外で戦争する国になるななどと訴えました。
国会周辺には、去年、政府が閣議決定した集団的自衛権の行使容認に反対してきた人たちが集まり、午前9時から集会を開きました。
主催者の発表でおよそ120人が参加し、集まった人たちは「憲法9条を守れ」とか「密室で決めるな」などと訴えました。
このうち36歳の会社員の女性は「子どもたちを平和のなかで育てていけるよう、戦争だけは許さないという思いで駆けつけました。国民に詳しい情報を知らせないまま、物事が進められているようで心配です」と話していました。
また、65歳の男性は「自衛隊員の命が失われたり、相手の命を奪ったりする可能性もある問題だからこそ、政府が国民に説明してほしいし、国会で議論してほしい」と話していました。