集団的自衛権行使容認、閣議決定へ 公明、執行部に一任

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 安倍晋三首相は、他国への攻撃に自衛隊が反撃する集団的自衛権について、憲法解釈の変更で行使を認める閣議決定を1日に行う方針を決めた。公明党が30日、閣議決定に賛成するかどうかを、山口那津男代表ら執行部に一任した。執行部が同日中に受け入れを正式に決める方向だ。これを受けて、首相は、与党の正式合意を経て、1日午後に臨時閣議を開く予定だ。

 歴代内閣は長年にわたり、憲法9条の解釈で、日本が集団的自衛権を行使することを禁じてきた。安倍内閣がこの解釈を変えて集団的自衛権を使えるようにすれば、戦後一貫して、海外で武力行使をしてこなかった自衛隊のあり方を大きく変えることになる。

 自民、公明両党は1日朝に与党協議を開き、閣議決定案について合意する方針だ。その後、両党の党内の手続きなどを経て、臨時閣議を開いて閣議決定。同日中に首相が記者会見し、憲法解釈を変更した理由などを説明する予定だ。

 公明党が30日に開いた会合では「国民の理解が進んでいない」などの慎重意見が出たものの、最後には、井上義久幹事長が党執行部への対応の一任を提案して了承された。党執行部は同日中に、閣議決定案の受け入れを決める見通しだ。

 1日の閣議決定案は、集団的自衛権を使えるように、憲法9条の解釈を変えることが柱だ。具体的には、これまで個別的自衛権の行使を認めてきた3要件を変更。新たな3要件として「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合などの条件を設け、それを満たした場合には、日本が集団的自衛権を使えるようにする。

 公明党は当初、解釈を変えることには慎重で、党内には閣議決定に反対する意見も強かった。しかし、新たな3要件について、「国民の(中略)権利が根底から覆される明白な危険があること」の文言が入るなど、政府・自民党公明党の意見をいくつか採り入れたことを理由に、「行使は限定的に行われる」として、最終的に受け入れに転じる考えだ。

 ただ、新たな3要件は抽象的な文言で、行使に具体的な歯止めをする規定はない。集団的自衛権だけでなく、国連決議に基づいて侵略国などを制裁する集団安全保障でも「自衛の措置」であれば武力を使えるようにするなど、武力行使の範囲を広げるおそれも残している。