軽減税率、外食も対象で最終調整 財源拡大1.3兆円

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 自民、公明両党は11日、消費税10%への引き上げ時に税率を8%に据え置く軽減税率について、酒類をのぞく食品全般に加え、「外食」も対象にする方向で最終調整に入った。食品全般と外食の線引きが難しいとして自民が提案したが、税収減の穴埋めに必要な財源は最大1兆3千億円へと拡大。財源確保の議論は先送りしたまま、12日に合意する方針だ。

 自民の谷垣禎一、公明の井上義久両幹事長や両党の税制調査会長らが11日夜、都内のホテルで約2時間にわたり協議した。2017年4月の軽減税率導入時に食品全般に加え、外食を含めるという自民の提案は、公明の想定を上回る範囲だった。

 自民は、これまで導入時の対象を「生鮮食品と一部の加工食品」(税収減4千億円)に絞るべきだと主張してきた。公明の反発が強いことを踏まえ、来夏の参院選対策を重視する立場から12月に入り方針を転換。「生鮮食品と菓子・飲料をのぞく加工食品」(同8200億円)に拡大し、10日には「酒類をのぞく食品全般」(同約1兆円)に広げて合意。この時点で外食は対象外とした。

 ところが、ハンバーガーや牛丼などを店内で食べずにテイクアウトした場合などは、外食か食品全般のどちらに該当するのか線引きが難しくなるとの意見が強まった。準備期間も短いなかで、事業者や消費者の混乱を避けるためとして、外食まで加えるよう提案した。

 しかし、軽減税率の議論はもともと低所得者対策として始まっただけに、この日の協議では、高級料亭などにも適用するのが妥当かどうかが議論になった。社会保障の充実と財政再建を目的とする消費増税が、軽減税率の対象拡大で最大1兆3千億円も減ることになれば、国会での野党の追及に耐えられないとの懸念も出たことから結論を持ち越した。井上氏は協議後、「12日に最終的にとりまとめる」と記者団に語った。

 外食も対象にする場合の財源には、消費増税に伴って低所得者対策に使うはずだった4千億円を振り替えるが、残り9千億円の財源確保はめどが立っていない。両党は週明けにとりまとめる与党税制改正大綱に「歳入歳出の両面の見直しで捻出する」と盛り込み、先送りする方針。官邸幹部は「財源はどうにでもなる。参院選があるんだから、自公両党が合意しないといけない」と語る。