「みなし課税」中小企業にも 軽減税率で与党検討

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 消費税率の10%への増税時に食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率の導入をめぐり、自民、公明両党が現行の「みなし課税」(簡易課税)の活用を検討していることが5日、分かった。現在は年間売上高5千万円以下の小規模事業者に限って認められているが、軽減税率導入に伴う経理事務の負担を軽くするため、対象を中小企業などにも広げることを検討する。複数の与党幹部が認めた。

 みなし課税制度は、小売りや卸売りなど6業種ごとに定められている「みなし仕入れ率」を使って税額を大まかに計算し、納税する制度。自公両党は、商品ごとに税率や税額などを明記するインボイス(明細書)を将来整備することで一致しているが、準備に時間がかかるため、みなし課税制度を「つなぎ」とする案が有力となっている。

 みなし課税はインボイスに比べて正確な納税額の算出は難しく、納めるべき税が事業者の手元に残る「益税」の問題がある。対象事業者を広げれば益税も拡大する懸念もあるが、中小企業に負担が少ない経理方式の導入は避けられないとの認識で自公は一致。来週の与党税制協議で、みなし課税を軸に議論を進める方向となった。

 政府・与党は2017年4月の消費税率10%への引き上げと同時に8%の軽減税率を導入する方針。自民の宮沢洋一・税制調査会長は4日、「17年4月に着実に実行できる制度を模索するのは(自公)共通の立場だ」との認識を示していた。