安保法案 対案の実質審議始まる

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安全保障関連法案を審議している衆議院の特別委員会で、民主党維新の党が共同で提出した「領域警備法案」と、維新の党が単独で提出した対案の実質的な審議が始まり、維新の党の対案の提出者は、対案に盛り込んだ武力行使の要件について経済的危機は含まないとしたうえで、国際法上は集団的自衛権の行使と評価される可能性があるという認識を示しました。
安全保障関連法案を審議している衆議院の特別委員会は、10日、安倍総理大臣も出席して集中審議を行っており、民主党維新の党が共同で提出した「領域警備法案」と維新の党が単独で提出した対案の実質的な審議が始まりました。
この中で、自民党の小野寺元防衛大臣は、民主党維新の党が共同で提出した「領域警備法案」に関連して、「民主党の安全保障法制のスタンスを聞きたい。『領域警備法案』だけしか出していないが、厳しさを増す安全保障環境のなかで、わが国の国民と平和な暮らしを守り抜くための必要な法整備が、この法案だけで十分なのか」とただしました。
これに対し、民主党の大串国会対策副委員長は、「維新の党と議論を重ね、『領域警備法案』を先に国会に共同提出した。集団的自衛権や周辺事態などをどう考えるのかは、党の安全保障に関する考え方にすべてきちんと書き込んでいる」と述べました。そのうえで、大串氏は、「政府が挙げている、ホルムズ海峡や周辺海域でのアメリカ艦船に対する防護などは、切迫性や緊要性、現実性が乏しく、憲法解釈の変更をしてまで集団的自衛権を認める方針とは考え方を異にする。周辺事態も周辺の概念を取り払うのは違うのではないか。まず身近を現実的に対応していくことが大切だ」と述べました。

公明党の上田政務調査会長代理は、維新の党が単独で提出した対案について、「政府案とは、『わが国が直接、攻撃されていない場合でも、他国が攻撃された場合に自衛権の行使を限定的に認める』という内容が共通点だと理解しているが、国際法上は、集団的自衛権の行使と評価される場合がある」と指摘しました。
これに対し、維新の党の小沢元環境大臣は、「集団的自衛権の定義や範囲の問題は、国際法上も、種々あるというのが私たちの認識だ。われわれが勝手に個別的自衛権だと言い張っているのではない」と述べました。そのうえで、小沢氏は、アメリカ軍への攻撃が日本への攻撃にもつながる危険がある場合に限り、武力行使ができるとする要件について、「わが国の防衛に資する活動をしている条約上の同盟軍の部隊が、攻撃を受けたときは、守ってあげなければやってられないというのは共通点だ。同時に、憲法との適合性を考えないといけない。最大の違いは経済的危機は含まない。国際法上は、集団的自衛権の行使であるという評価を受けうることを否定するものではない」と述べました。

民主党の岡田代表は、集団的自衛権の行使が可能になる「存立危機事態」について、「個別的自衛権武力行使するには、相手方の武力攻撃の着手がなければできないが、『存立危機事態』における攻撃の着手という概念は、アメリカに対するものなのか、日本に対するものなのか。それとも、攻撃の着手という概念は、そもそもないのか」とただしました。これに対し、安倍総理大臣は、「アメリカへの武力攻撃が発生していなければならないが、武力攻撃がすでに発生しているなかで、さらにわが国への攻撃が切迫していると認識しうる状況にあり、その先において、例えば、ミサイル警戒にあたっているアメリカの艦船が攻撃される明白な危険の段階で、『存立危機事態』に認定しうると考えている」と述べました。