都構想か市存続か 賛成派・反対派、大阪で舌戦開始

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 大都市のあり方を問う住民投票が27日に告示され、賛成派も反対派も早朝から大阪市内の街頭へ飛び出した。住民サービスや成長戦略はどうなるのか。ムダの削減につながるのか。来月17日の投票に向け、選択を求める側の訴えに熱がこもってきた。

■賛成の維新「今のまま、二重行政なくならぬ」

 大阪都構想を推進する大阪維新の会は、松井一郎幹事長(大阪府知事)が午前10時から中央区南海難波駅前で街頭演説をした。

 「今までの大阪の役所の姿かたちでは、二重行政はなくならない。役所のシステムをつくる住民投票だ」

 そう訴えると、「アンケートのような住民投票とは違う。この国の行政は大阪市民の意思に従わないといけない」として、投票結果が法的拘束力を持つ住民投票の重みを強調した。

 買い物に訪れ、演説を聴いた天王寺区の主婦(61)は「二重行政の無駄遣いをやめて、若い人たちに借金を残さないようにしてほしい。変えるチャンスは今しかないと思う」と話した。

 維新の所属議員も早朝から市内各地の駅などで動いた。城東区のJR鴫野(しぎの)駅では午前7時半から大阪府議や大阪市議がおそろいの「CHANGE OSAKA!」のロゴが入ったオレンジ色のシャツを着てビラを配布。通勤客に「都構想で必ず大阪は良くなります」などと訴えた。

 ビラは「大阪都構想のこと全然わからなくて、このままだと不安」という女性の訴えに「大阪都になっても税金は上がらない」などと説明する仕立てになっている。ビラを配っていた維新政調会長の浅田均府議は「(住民投票は)僕らも有権者も初めての経験。若い世代でビラをわざわざ取りに来る人も多く、関心が高まっている」と話した。

 維新は街頭や地方議員を中心とした小規模集会で都構想の説明を行う方針。橋下徹代表(大阪市長)は27日夕方から街頭演説を行う予定だ。

■反対の自民「何一つ市民のためにならない」

 自民党は午前10時、中央区大阪城公園で「第一声」。城を背に所属議員ら約70人が気勢を上げた。

 府議団の花谷充愉(みつよし)幹事長は「必ず反対多数にしなければならない戦い。(都構想は)何ひとつ市民のためになることはない」と主張。反対派の竹山修身堺市長も並び、「太閤さん(豊臣秀吉)が怒ってまっせ。この大阪市の歴史をつぶしていいのか。それが問われている」と叫んだ。集まった約20台の宣伝カーは「大阪を守ろう」と訴え、市内各地に散った。

 民主党は市議選の落選候補者らが城東区の駅周辺でビラ配り。尾立源幸府連代表は「日本で一番古い政令指定市の廃止をたった3週間で判断していいのか」と反対を主張した。共産党は市役所前で市民団体の出発式に参加し、清水忠史府副委員長が「市民にとって百害あって一利なしだ」と都構想を批判。超党派で反都構想運動を進める政治団体「府民のちから2015」は北区で、「迷ったら反対」と掲げた宣伝カーを集め、出発式をした。

 公明党は27日、府本部幹部の会議で反対の運動をする方針を決定し、府本部に「We Say NO!」と記した反対ポスターも掲示。府本部の小笹正博幹事長は記者団に「住民投票で決着をつける」と語った。

 淀川区の十三駅前で自民党市議の演説を聞いていた同区の杉本輝子さん(85)は「今のままでもいい。周りの高齢者はみんな、橋下さんについて行かれへん、と言っている」と話した。