衆院議長交代、大島氏は国会運営精通 山東氏が派閥会長

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 町村信孝衆院議長(70)は20日、軽い脳梗塞(こうそく)を発症し、職務を続けるのが困難だとして、川端達夫副議長に議長の辞任願を提出した。「三権の長」の一角を占める衆院議長が、異例の途中交代となる。自民党は後任に、大島理森衆院予算委員長(68)をあてることを決めた。21日の衆院本会議で選出される。

 「議長の責務の重さを考え、いささかなりとも悪影響が出る恐れは避けなければならない」。町村氏は緊急の記者会見を国会内で開き、辞任理由をこう語った。わずか4カ月弱での退任に「何もできなかった」と残念がった。

 町村氏によると、14日の衆院本会議後、歩くと右ひざに痛みを覚え、足が重く感じたため病院で検査を受けたところ、軽い脳梗塞(こうそく)と診断されたという。町村氏は自民党総裁選を戦っていた2012年にも、脳梗塞を患っていた。

 町村氏は会見で「(医師から)当面の間は安静をとり、精密検査と治療が必要だとの話があった」と語り、事実上の「ドクターストップ」だったと説明。「すっかり良くなっていたと過信し続けていたと強く反省している」と述べた。今後は治療を続けながら議員活動を続けるという。

 町村氏は官房長官外相文部科学相などを歴任した。最大派閥の町村派(現・細田派)も長年率いた。衆院議長が衆院解散以外で任期途中に辞任するのは、1989年の原健三郎議長以来で異例のことだ。

 後任の大島氏は衆院青森3区選出で当選11回。文相、農林水産相を歴任し、自民党大島派の会長を務める。党国会対策委員長が長く、公明党や野党との人脈もある。

 今国会は5月中旬から、安全保障法制で激しい与野党対決が予想され、大幅延長も見込まれている。自民は国会が混乱することも想定し、国会運営に精通した大島氏が適任だと判断した。

 大島氏は党本部で記者団に「身に余る光栄だ。国民に信頼される立法府のあるべき姿を、自分の頭の中で整理していかなければならない」と語った。大島氏が務める衆院予算委員長の後任は、河村建夫官房長官(72)が就く見通しだ。

 議長は中立が求められるため、自民党会派や派閥から離脱する予定だ。このため、大島派の会長は副会長の山東昭子氏に引き継ぐ方針だ。

 最小派閥の大島派には、もともと他派閥との合併話が絶えない。高村正彦副総裁が会長を務めていた12年5月から、合併を視野に麻生派との勉強会を開いている。石原派や二階派との合併を模索したこともあった。ただ、今回、山東氏が新会長に就くことで、当面は単独の派閥として活動することになりそうだ。