安保法制整備で「存立危機武力攻撃」を定義へ

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安全保障法制の整備で焦点となる、集団的自衛権の行使を可能にする関連法案の全容が明らかになりました。政府は、集団的自衛権の行使によって排除できる対象は、他国に対するあらゆる武力攻撃ではなく、「わが国と密接な関係にある他国への武力攻撃で、これによりわが国の存立が脅かされるなどの場合」に限られることを明らかにするため、こうした攻撃を新たに「存立危機武力攻撃」と定義する方針です。
政府は、現行の自衛隊法や武力攻撃事態対処法を改正して、集団的自衛権の行使を可能にする法整備を行う考えで、関連法案の全容を取りまとめました。
それによりますと、武力攻撃事態対処法を改正して、集団的自衛権の行使が可能になる事態を、「存立危機事態」と位置づけ、武力行使の新3要件に沿って、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」と定義しています。そのうえで、集団的自衛権の行使によって排除できる対象は、他国に対するあらゆる武力攻撃ではないことを明らかにするため、「存立危機事態」をもたらす攻撃を新たに「存立危機武力攻撃」と定義する方針です。
また、公明党が歯止めとして盛り込むよう求めていた、新3要件のうちの、「国民を守るために他に適当な手段がない」という要件については、事態が発生した際に政府が定める対処基本方針の中に、「他に適当な手段がなく、武力行使が必要な理由」を記載するよう定めるとしています。
さらに、政府は、公明党が「政府の答弁などを的確に反映した法制」にするよう求めていることを踏まえ、これまでの国会答弁に沿って、「存立危機事態」に当たるかどうかは、「武力を用いた対処をしなければ、わが国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻な被害が国民に及ぶかという観点から評価」するとしています。
政府は、こうした関連法案の全容を、17日開かれる与党協議で示すことにしていて、安全保障法制の整備を巡る議論は、法案策定に向けて大詰めを迎えています。