自衛隊の邦人救出 慎重に検討する仕組みを

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政府・自民党は、安全保障法制の整備で焦点のひとつとなっている、自衛隊による海外での邦人救出について、派遣の要件を満たすかどうかは、NSC=国家安全保障会議で判断したうえで、派遣は閣議決定の手続きを経るなど、慎重に検討する仕組みをつくる方向で調整を進めています。

安全保障法制の整備に向けた27日の与党協議では、自衛隊による海外での邦人救出を巡って、過激派組織IS=イスラミックステートによる日本人殺害事件なども踏まえて意見が交わされました。
そして、政府は、日本人がテロなどに遭遇した領域国の同意があり、その国の権力が維持されている範囲で救出活動に当たれるようにしたいと説明し、自民党はこうした提案を支持しました。
これに対し、公明党内からは「紛争が起きた際に、自衛隊が現地の状況を把握するのは容易ではない」という指摘や、「自衛隊の安全を確保できるのか、政府の説明は不明確だ」といった意見が相次いでいます。
こうした意見も踏まえて、政府・自民党は、自衛隊が活動する地域が、同意した領域国の権力が維持されている範囲に当たるかどうかなど、派遣の要件を満たすかどうかは、NSC=国家安全保障会議が、あらかじめ策定した基準を基に判断したうえで、派遣は閣議決定の手続きを経るなど、慎重に検討する仕組みをつくる方向で調整を進めています。
ただ、実際に要件を満たして救出活動が行われる可能性について、政府関係者は「現実的には、大使館の占拠事件といった、現場が正確に特定されているうえ領域国の軍隊では対応できない場合などに極めて限られる」としており、政府・自民党は、こうした見解も公明党側に伝え、理解を得ていきたい考えです。