首相 介護人材確保などに取り組む

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国会は、参議院本会議で2日目の代表質問が行われ、安倍総理大臣は、ことし春の介護報酬の改定について、質の高いサービスを提供する事業者には手厚い報酬が支払われるなどとして、介護施設の整備や人材の確保に一層取り組んでいく考えを示しました。

この中で、公明党の山口代表は、ことし春の介護報酬の改定で介護報酬を全体で2.27%引き下げることについて、「介護現場から撤退せざるをえない事業所が出るのではないかといった声が出ており、介護サービスの低下につながるのではないかと危惧する声にどのように答えるのか。また、福祉施設内部留保が大きく、もうけすぎているのではないかとの誤解を国民に与えている」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「最重要の課題である介護職員の確保を図るため、1人当たり月額1万2000円相当の処遇改善を実現するための加算を設け、中重度の要介護者や認知症高齢者を受け入れた場合などにきめ細かく加算する。小規模な地域密着型サービスなどは高い報酬を設定するなど、質の高いサービスを提供する事業者には手厚い報酬が支払われることにした。これにより、高齢者の保険料の上昇を抑制し、利用者負担を軽減できると見込んでいる」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は「平成27年度からは、都道府県に設置した基金におよそ700億円を充て、介護施設などの整備や介護人材の確保に向けた取り組みを一層推進し、国民が安心して介護サービスを利用できる体制を構築していく。社会福祉法人のいわゆる内部留保については、国民に対する説明責任を果たす観点から明らかにする仕組みを構築していく」と述べました。
また、安倍総理大臣は、アジア諸国の海上警備などへの支援について、「アジア諸国の海上保安機関に対する人材育成への協力や共同訓練の実施など、長年取り組んできた人的交流をさらに促進し、協力関係を強化していく。自衛隊の能力構築支援事業を積極的に活用し、海洋安全保障分野に関する東南アジア諸国の能力を向上させるなど、国際的な安全保障環境の安定化に向け、事業の充実・強化に努めていく」と述べました。
維新の党の柴田総務会長代理は「親の経済力で子どもの学習機会に格差を生じさせないよう、低所得者層の子どもの教育支援の充実が重要だ。低所得者層への教育支援策として、学校教育に使用目的を限定した『クーポン』を子どもや保護者に支給する『教育バウチャー制度』の導入を本格検討すべきだ。保育バウチャー制度の導入も求められる」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「教育分野におけるバウチャー制度は、子どもや保護者の選択肢の拡大、低所得世帯の学習機会の充実といった観点から傾聴に値する意見だ。低所得世帯への教育支援は、高校生などへの給付金や無利子奨学金の拡充など充実に努めており、今後とも、誰もが家庭の経済事情によって左右されることなく、希望する教育を受けられるよう取り組んでいく。保育分野におけるバウチャー制度は、利用者の選択の幅を広げるといった効果が考えられる一方、サービスの質の確保などに留意する必要がある」と述べました。