与党税制大綱、格差の固定化懸念も 景気刺激策を優先

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 《解説》自民、公明両党は今回の税制改正で、安倍政権の経済政策「アベノミクス」を成功させるため、消費増税をきっかけに低迷する個人消費の底上げをめざすメニューを並べた。だが、ねらい通りの「経済の好循環」が生じるかは不透明だ。

 企業には賃上げなどを促すため、法人実効税率を来年度から2年かけて3・29%引き下げる一方で、課税対象のすそ野を広げる増税も進める。2年間は先行減税となり、3年目には減税と増税が差し引きでほぼゼロになる。「財政規律」に配慮はしているものの、減税は安定してもうけている強い企業に限られ、賃上げの動きは一部にとどまる可能性がある。

 しかも減税の穴埋めとして、赤字でも事業規模に応じて課税する外形標準課税増税する。企業が危機感を強めて体質改善が進めばいいが、ぎりぎりの経営状態にある企業が増税されれば、しわ寄せは雇用や賃金に及びかねない。