佐賀県知事選が告示 無所属の新顔4人立候補

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 前知事の国政転出に伴う佐賀県知事選が25日告示され、いずれも無所属の新顔4人が立候補を届け出た。新知事は安倍政権が進める九州電力玄海原発(同県玄海町)の再稼働や佐賀空港佐賀市)へのオスプレイ配備について対応を判断する立場で、論戦の行方が注目される。

 立候補したのは農業の飯盛(いさがい)良隆(44)、前武雄市長の樋渡(ひわたし)啓祐(45)=自民、公明推薦=、元総務省官僚の山口祥義(よしのり)(49)、九州大大学院教授の島谷幸宏(59)の各氏。投開票は来年1月11日で、有権者数は24日現在で68万2028人。

 自民党本部が推薦する樋渡氏に対し、同党の地元県連の一部や有力支持団体である農協、地元首長らが山口氏を擁立。保守分裂選挙になった。公明党は25日、樋渡氏の推薦を決めた。

 樋渡氏は、前知事の古川康氏が衆院選に立候補する意向が表面化した直後、首相官邸菅義偉官房長官と面会。官邸・党本部主導で推薦が決まった。一方、樋渡氏の政治手法を「強引」などとして批判する一部の県連幹部や農協幹部、佐賀市の秀島敏行市長らが山口氏の出馬を後押しした。JAグループ佐賀の政治組織「県農政協議会」が山口氏を推薦し、陣営の中心を担う。

 これに対し、28日には菅官房長官が樋渡氏の応援で佐賀入りする予定で、「政権対農協」の構図が鮮明になっている。背景には、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉や農協改革といった安倍政権が進める政策への不信感も見え隠れする。

 新知事は原発オスプレイといった国策の判断にも密接に関わる。玄海原発は、九電川内原発鹿児島県)、関西電力高浜原発福井県)に次いで再稼働への手続きが進む。来年10月で運転開始40年の玄海1号機の廃炉問題も抱える。

 再稼働について、樋渡、山口両氏は主に経済面への影響から、安全性の確認と住民の理解を前提として「容認」の立場。島谷氏は「安全性の確保は極めて困難」と反対の立場だ。飯盛氏は「3号機のプルサーマルは中止、1号機は廃炉、2〜4号機は再稼働」としている。

 オスプレイ配備問題は、古川前知事が辞職直前に「配備されても空港の運用に支障はない」との見解を示しており、この路線を引き継ぐかどうかが焦点。

 樋渡氏は「条件付き賛成」として、古川氏の路線を継承する立場。山口氏は「県議会や佐賀市・市議会、地元の意見を聞いて判断する」と賛否を明らかにしていない。島谷氏は「軍事基地化につながる恐れがあるなら受け入れられない」。飯盛氏は「佐賀が最適なら受け入れるべきだ」との立場だ。(届け出順、四角囲み政党は推薦)