法人減税、初年度2〜3%幅で調整へ 与党税調

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 与党の自民、公明両党の税制調査会と財務、総務両省は、国と地方を合わせた法人実効税率について、2015年度に2〜3%前後引き下げる方向で調整に入る。34・62%ある税率を数年かけて段階的に引き下げ、17年度以降に「20%台」にしたい考えだ。

 安倍政権は6月に法人実効税率について「数年で20%台に下げる」ことを決めている。両省は29日、15〜16年度と17年度以降の2段階で見直しを進める改革案を両党の税調会合で示した。与党はこれに沿って来年度の税制改正案をまとめる方針だ。

 財務省によると、実効税率を1%幅下げると税収は約5千億円減る。改革案では、税率引き下げ分の財源は、企業向けの別の増税で穴埋めすることを前提にしている。増減税の影響を和らげるため、15〜16年度の2年間で2〜3%前後を引き下げる案もある。

 15〜16年度の第1弾では、もうけがなくても給与総額などに応じて大企業に課す「外形標準課税」の拡大や、過去に赤字だった企業向けの減税の見直しなどを挙げた。外形標準課税の対象を資本金1億円以下の中小企業にも広げる案もあったが、企業側の反発が強く、見送ることにした。17年度以降の第2弾の改革では、企業の研究開発や設備投資を支援する減税の見直しなどを検討する。

 安倍晋三首相は法人税改革を成長戦略の目玉と位置づける。首相が財政を悪化させないよう増減税のバランスを優先するか、企業支援を重視して減税を先行させるかが、年末の税制改正の焦点になりそうだ。(吉川啓一郎、稲田清英)