谷垣氏「加工食品の線引き難しい」 自公幹事長会見詳報

参照元 谷垣氏「加工食品の線引き難しい」 自公幹事長会見詳報

 自民党谷垣禎一公明党井上義久両幹事長は12日、軽減税率の合意後に記者会見した。内容は次の通り。

 (谷垣氏)軽減税率の大枠案を自公で合意した。いまから合意内容を申し上げる。

 第一、2017年4月1日に消費税の軽減税率制度を導入する。

 第二、飲食料品にかかる軽減税率の対象品目は以下のものとし、適用税率は8%(国・地方合計)とする。対象品目は、食品表示基準に規定する生鮮食品及び加工食品(酒類及び外食を除く)。

 第三、軽減税率制度の導入にあたっては、財政健全化目標を堅持し、安定的な恒久財源を確保することについて、自民党公明党両党で責任をもって対応する。このため、16年度税制改正法案において、以下の旨を規定する。

 ?16年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずることにより、安定的な恒久財源を確保する。?財政健全化目標との関係や、18年度の「経済・財政再生計画」の中間評価を踏まえつつ、消費税制度を含む税制の構造改革社会保障制度改革等の歳入及び歳出のあり方について検討を加え、必要な措置を講ずる。

 第四、21年4月にインボイス制度を導入する。それまでの間は、簡素な方法とする。

 第五、軽減税率制度の導入にあたり混乱が生じないよう、政府・与党が一体となって万全の準備を進める。このため、政府・与党に必要な体制を整備するとともに、事業者の準備状況等を検証しつつ、必要に応じて軽減税率制度の円滑な導入・運用に資するための必要な措置を講ずる。

 平成28年度税制改正法案において上記の旨を規定する。以上です。

 まず私から井上幹事長とのいままでの協議について若干の点を申し上げたい。主な論点は三つだったと思う。

 第一は、消費税の軽減税率制度の低所得者対策としてのあるべき姿をどう考えるかというのが非常に大きな議論だった。二番目。17年4月導入とした時、何ができるのかということ。三番目に、安定的な恒久財源をどのように確保するのかということ。

 一番大きな議論になった対象品目は何にするのかという点については、低所得者対策としてのあるべき姿や、17年4月に導入できるのは何かという観点から議論をした。

 一つは、収入の水準にかかわらず、加工食品が広く購入されている実態。それから、消費者にとって分かりやすく、代替性、類似性のあるものを同じように取り扱う制度でないと分かりにくくなるという観点。それから、外食に対する高額な支出を対象とすることは適切なのか、不適切ではないのかということ。これらを踏まえると、飲食料品については対象品目は可能な限り幅広く、酒類・外食を除く飲食料品とすることが望ましく、これを17年4月に混乱なく導入できるよう政府・与党一体となって万全の準備を進めていく。こういう議論をした。

 他方、所要財源は1兆円程度ということが見込まれるわけだが、20年度にプライマリーバランスを黒字化するとの財政健全化目標を堅持して、自公両党で責任をもって安定的な恒久財源を確保する。具体的には来年度末までに安定的な恒久財源を確保することとして、そのうえで、財政健全化目標の達成にむけて経済・財政再生計画の中間評価を踏まえながら、歳入歳出のあり方についても検討を加えて、必要な措置を講じよう。これを明確にした。

 軽減税率制度については、長きにわたって検討を続けてきたが、線引きの問題、事業者の事務負担の問題、財源問題、そういったことがなかなか難しくて、これまで成案を得ることができなかったが、この間、両党で精力的に議論を行い、ただいま申し上げたような結論となった。現段階では最も良い案を合意することができたのではないかと考えている。

 (井上氏)私どもは、消費税のもつ逆進性とか痛税感の緩和という観点から、国民の理解が得られる軽減税率制度とすべきであるという点で、加工食品を含めた食料品を対象にすべきだと一貫して申し上げてきたが、今回、酒類と外食を除く食料品全般を対象にするという合意ができた。今後、財政再生計画を堅持し、手当てをしていくということについても、与党として責任をもたなければならない。

 ――自民党内では加工食品を加えることに慎重な意見があった。今回、大幅に対象を広げた理由は。混乱はないとの確証はあるのか。

 (谷垣氏)生鮮食品は明確な基準がある。ただ、消費実態等を見ると、圧倒的に加工食品が含まれている。加工食品のなかで線を引こうとすると、相当難しい。具体的にはこれから税調できちっと詰めていただくが、外食を除くということでいくなら、線引きがなんとかなるのではなかろうか。ここは、さらに精力的に詰めなければいけない。