首相 TPP合意を受け「農業を成長産業に」

参照元 首相 TPP合意を受け「農業を成長産業に」

首相 TPP合意を受け「農業を成長産業に」

11月10日 12時28分

安倍総理大臣は衆議院予算委員会の閉会中審査で、TPP=環太平洋パートナーシップ協定交渉が大筋合意したことは、日本の農産物の輸出の拡大につながると意義を強調したうえで、農業への影響を最小限に抑える対策を実行し、農業を成長産業にしていく考えを示しました。
国会では、先月の内閣改造後、初めての国会論戦となる衆議院予算委員会の閉会中審査が行われています。
この中で、自民党の稲田政務調査会長は「『TPPは日本の農業にとってどのような影響があるのか分からない』と農家の方々は不安に思っており、TPPが発効したあとの農業の姿をどのように考えているのか」と質問しました。
これに対して、安倍総理大臣は「TPPの発効で多くの農産物にかけられていた関税がなくなるが、これはこちら側もそうだが相手国もそうであるということを忘れてはならない。質の高い農産物がしっかりと評価され、自由でルールのあるマーケットができる。日本の農家が精魂込めて作った農作物をしっかりとした価格で、政府も支援しながら輸出を進めていきたい」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「大きな不安を感じている農業者もいると思う。私たちは不安に寄り添いながら、政府全体で万全の対策を取りまとめ実行していく。これによって農業を成長産業化させ、若者がみずからの情熱で新たな地平を切り開いていける、そういう夢のある分野にしていきたい」と述べました。
公明党の石田政務調査会長は「TPPについての評価は与野党でさまざまあるかもしれないが、交渉を大筋でまとめた、その努力は大変なものだったと率直に評価したい。安倍総理大臣はどのように評価しているか」と述べました。
これに対し、安倍総理大臣は「農林水産品の関税については、国会の委員会決議を後ろ盾として、各国と粘り強く交渉した結果、わが国は、およそ2割の関税撤廃の例外を獲得することができ、交渉参加の際に約束したことを守ることができた」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「今後、どんな影響が生じうるかを十分に精査のうえ、意欲のある農林漁業者が希望を持って経営に取り組み、確実に再生産が可能となるよう、今月下旬をめどに政府全体で国内対策を取りまとめ、万全の措置を講じていく」と述べました。
また、森山農林水産大臣は国内の農業対策に関連して、「畜産農家が新たな取り組みを開始することができるようにするためにも、経営リスクへの備えとして長期的な経営安定対策の構築が重要だ。法制化も視野に入れて検討したい」と述べ、例年、予算措置で対応している牛肉を生産する農家の赤字額の一部を国が補填(ほてん)する制度を法制化することも含めて検討する考えを示しました。
民主党の岡田代表は憲法改正に関連して、「国民の8割が『政府の説明は不十分だ』と言っているにもかかわらず、集団的自衛権の解釈を変えしまった安倍総理大臣を見ていると、数がそろえば憲法を改正するのではないか」とただしました。
これに対して、安倍総理大臣は「数がそろためには選挙で衆参ともに大勝しなければならない。そのうえで国民の支持を受けて過半の国民の理解と支持のもとに成立させるというプロセスがあり、私が勝手に『こうすれば行く』ということではない」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「やみくもに国民投票にかけても賛同を得られるかどうかは分からない。国会における憲法調査会においても議論が深まっていくことを期待し、国民的な議論が深まり、広がり、高まっていくことが絶対的に必要だ」と述べました。一方、南シナ海で中国が人工島を造成している問題に関連して、安倍総理大臣は「南シナ海を巡る問題は、地域の平和と安定に直結する、わが国を含む国際社会共通の関心事項であり、法の支配が尊重されることが非常に重要だ。今後も、来週開催されるEAS=東アジアサミットなどの国際会議や、その機会に行われる2国間会議においても、法の支配の重要性を強く訴えていく考えだ」と述べました。