軽減税率対象で綱引き 「幅広く」「限定」で自公協議

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 自民、公明両党は27日、食料品などの消費税率を低く抑える軽減税率の具体策を検討する与党税制協議会での議論を約1カ月ぶりに再開した。最大の焦点となる対象品目の線引きについて、「生鮮食品」までにとどめたい自民と、「酒類を除く飲食料品」まで幅広く対象にしたい公明が、初日から激しくぶつかった。

 この日の与党協議では、対象品目の線引きについて、自民党が「きわめて限定的にしないと混乱を引き起こす」と主張。これに対し、公明は「消費税が上がる痛税感を解消するには、幅広く対象にすべきだ」と訴え、平行線をたどった。

 軽減税率の導入に伴う税収減を補う財源策では、両党が具体案を出し合った。

 自民は、民主、公明と2012年に合意した、消費税の増収分を年金や医療など社会保障の充実に使うという「社会保障と税の一体改革」の範囲内に収めることを強調。そのうえで、医療、介護、保育などの自己負担額に上限を設ける低所得者対策「総合合算制度」に充てられるはずの4千億円を財源として確保する考えを示した。

 17年4月の導入当初は、軽減税率の対象品目を「精米」(税収減400億円)などに絞り込み、段階的に精米や刺し身など「生鮮食品」(税収減約3400億円)まで対象を広げていく案を、自民と財務省は想定しているとみられる。

 これに対し、公明は、「酒類をのぞく飲食料品と外食」(税収減1兆3千億円)を訴えている。党幹部は「あくまで高めの球」としており、「生鮮食品と加工食品」(税収減は約1兆円)を本命にする。

 このため、この日の与党協議では「税制全体で考えるべきだ」とし、消費税以外の税制でも穴埋めすることを訴えた。自民が示した4千億円に加え、軽減税率の準備が整うまで低所得者向けに行う「簡素な給付措置」などからの約4千億円も合わせた計約8千億円の財源案を示した。さらなる上乗せで1兆円分を目指す考えだ。