大阪知事選、栗原府議が出馬会見「不毛な対立に終止符」

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 11月22日投開票の大阪府知事選に、自民党推薦で立候補する栗原貴子府議(53)が15日、大阪市内で会見を開いた。「不毛な対立、混乱が続いた」と、松井一郎知事(51)を擁立する大阪維新の会を批判。大阪都構想に強く反対した。

 栗原氏は府議2期目。公認会計士で、自民党府議団の政調会長を務めている。

 会見では、大阪維新大阪都構想を再び掲げる点を「5月の住民投票でピリオドを打てたのに、また振り出しに戻そうとしている」と攻撃。政策では「経済を強くしたい。交通インフラ整備も東京や名古屋と比べて遅れているので、しっかり取り組む」と訴えた。

 財政再建公認会計士の知識や経験を生かし、大阪維新が移転を主導した府の「咲洲(さきしま)庁舎」からの撤退も公約に掲げるという。無所属で立候補し、反維新勢力の結集を図る考えだ。

■自民府連、迷走の末「女性」

 11月の大阪府知事選をめぐる自民党大阪府連の擁立は、党本部の「横やり」におびえながらの作業だった。迷走の末、告示の1カ月前に打診されたのは同党の栗原貴子府議(53)。名前が浮上してからわずか4日後の決断だった。

 大阪市内で15日にあった記者会見。栗原氏は“勝負服”の赤いスーツ姿で「私にとっては、とても大きな決断だった」と語った。

 候補者選びの足かせとなったのは、安倍政権橋下徹大阪市長らとの「蜜月関係」だった。府連幹部は、俳優の辰巳琢郎氏(57)の名前が挙がった際、党本部の幹部にクギを刺された。「大阪市長選ならいいが、知事選はダメだ」。府連幹部は、菅義偉官房長官と親密な松井一郎知事(51)の再選を阻むような著名な候補は擁立するな、とのメッセージと受け止めた。

 党本部に気兼ねせず、松井氏と勝負できる人材――。府連会長(当時)の竹本直一衆院議員は、松井氏との違いを出せる女性を軸に検討した。だが10月初めに村木厚子前厚生労働次官(59)に断られるなど、カードは栗原氏に絞られた。府議2期目の公認会計士。財政問題などに切り込む論客で、4月末に府議政調会長に抜擢(ばってき)された。その栗原氏も10月2日、有力候補と報じられると、「今の仕事にやりがいを感じている」と否定した。

 5日の府議会。赤いスーツ姿の栗原氏が初の代表質問に立った。松井氏が掲げる都構想への再挑戦を「府民の思いは『もうええ加減にしてほしい』だ」と批判し、最後はこう締めた。

 「まじめに、大阪の将来を一緒に考えませんか」

 「マジメに、大阪。」は自民党が候補未定のまま練っていた知事選の公約の表題だった。熱のこもった質問に、松井氏も栗原氏をまっすぐ見据えて答弁した。府議団幹部は「腹を決めてくれた」と確信。議場で傍聴した府連幹部の国会議員は「灯台もと暗しだった」とつぶやいた。

 6日夜、栗原氏は花谷充愉(みつよし)府議団幹事長と大阪市内のバーで会談し、意思を固めた。「私しかいないのなら、火中の栗を拾う」。翌日、反対する後援会幹部に、そう告げた。

 15日、栗原氏は決断に至った心境を明かした。

 「大阪を変えることができる4年に1度のチャンス。そのチャンスが私に委ねられたのなら、できることは何かと考えました」(上田真由美)

■共産「自主的支援」を発表

 大阪府知事選で共産党は15日、自民党が推薦する同党の栗原貴子府議(53)を「自主的支援」する、と発表した。共産党は少なくとも1963年以降、同知事選で公認や推薦候補を擁立し続けており、異例の対応だ。山口勝利・党府委員長は会見で「維新政治に終止符を打つのが一番大事。まともな府政を実現するため力を尽くす」と説明した。

 共産党は、大阪市長選でも自民党推薦の柳本顕・大阪市議(41)への「自主的支援」を表明。大阪都構想を廃案とした5月の住民投票と同様に、反維新勢力の連携を図る狙いがある。自民党大阪府連の中山泰秀会長はこの日の会見で、共産党との連携に否定的な考えを示したが、山口氏は「私たちは私たちの取り組みを進めていく」と話した。

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 大阪府・市、堺市の首長と議員でつくる「大阪戦略調整会議」(大阪会議)の再開は、11月の府知事、大阪市長のダブル選挙後に持ち越される見通しとなった。前回会議では議題の提案方法で紛糾。今井豊会長(大阪維新の会府議)は14日、自民、公明側に、3首長と各会派が持ち寄る議題を一つずつに絞る提案をしたが、自公とも全議題を示すべきだと主張した。

 大阪維新幹事長の松井一郎府知事は15日、記者団に、絞り込む議案として府立大学と大阪市立大学の統合を想定していたと説明。「自民は大阪会議ではものが決まらないと自分たちで証明した」と批判した。