安全保障関連法案を審議する
衆議院の特別委員会で
参考人質疑が行われ、学識経験者から、「限定的な
集団的自衛権の行使容認で、
憲法の許容範囲だ」という意見が出された一方で、「限定的と称するものを含めて、従来の政府見解とは相容れず、
憲法に違反する」という意見が出されました。
この中で、野党が推薦した、慶応大
学名誉教授の
小林節氏は、「この
戦争法案は
憲法に違反し、政策としても愚かで、廃案にすべきだ。政府は、
憲法は自国を守るために必要最小限のことはでき、必要最小限の判断は国際情勢によるとしているが、これは、事実上無限定の判断基準になっており、程度・量の問題だけにわい小化されている」と述べました。
野党が推薦した、元
内閣法制局長官の阪田雅裕氏は、「
安倍総理大臣が
集団的自衛権の行使事例として挙げている、
ホルムズ海峡の機雷封鎖は、どう考えても、わが国の存立を脅かし、国民の生命や幸福追求の権利を根底から覆す事態に至りようがない。中東有事にまで、
集団的自衛権の出番があると、限定的でも何でもなく、わが国の利益を守るために必要と判断すれば、行使できると言っているのにひとしく、到底、従来の政府の解釈の基本的な論理の枠内であるとは言えない」と述べました。
自民党が推薦した
駒澤大学名誉教授の
西修氏は、「個別的
自衛権にしろ、
集団的自衛権にしろ、その行使は、国際社会の平和と秩序を実現するという
憲法上の要請に基づき、政策判断上の問題だ。政府は、国際平和の推進、国民の生命・安全の保持のため、最大限の方策を講ずる義務を負っている。法案は、
武力行使の新3要件など、限定的な
集団的自衛権の行使容認で、明白に
憲法の許容範囲だ」と述べました。
野党が推薦した、元
内閣法制局長官の宮崎礼壹氏は、「政府の当局者は、自国を守るための
集団的自衛権と、それ以外を分け、前者は合憲、後者は
違憲と言っている。しかし、自国防衛と称して、攻撃を受けていないのに
武力行使をするのは、先制攻撃そのものだ。
集団的自衛権の行使容認は、限定的と称するものを含めて、従来の政府見解とは相いれないもので、
憲法9条に違反しており、速やかに撤回すべきだ」と述べました。
公明党が推薦した元
防衛大臣の
森本敏氏は、「現状と将来の安全保障環境の中で、国の存立、国民の安全を効果的に守るために、周辺諸国の脅威に対応する十分な体制は、今の法体系では、必ずしもできていない。同時に、日米同盟は、日本の安全保障の基盤であり、アメリカの政策を同盟国としてどのように補完し、抑止と対応能力をつけることができるかが、この法制の抱えている最も重要な命題だ」と述べました。