首相 農協改革取り組む意欲強調

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国会は、29日から衆議院予算委員会で基本的質疑が始まり、安倍総理大臣は「農業の活性化は待ったなしだ」と述べ、JA全中=全国農業協同組合中央会が法律に基づいて地域の農協に行っている会計監査の権限撤廃を含む農協改革に取り組む意欲を強調しました。

このなかで、自民党の稲田政務調査会長は、農協改革について「政府・与党の改革案には『JA全中=全国農業協同組合中央会は自律的な新たな制度に移行する』と書かれているが、自律的な新たな制度とはどのようなものと受けて止めているのか」と質問しました。これに対し、安倍総理大臣は「農業の活性化は待ったなしだ。
農家に一番近い地域の農協が創意工夫を発揮して、農産物の販売力の強化に取り組むなど、農業の成長産業化に全力投球できるようにしていくことが必要だ。
個々の農協も力をつけており、今後、中央会は地域の農協や農家のサポート役に徹してもらいたい。法的な裏付けがないとできないような事業を行う組織は自律的とは言えない」と述べ、JA全中が法律に基づいて地域の農協に行っている会計監査の権限撤廃を含む農協改革に取り組む意欲を強調しました。
安倍総理大臣は、憲法改正について「『戦後レジームからの脱却』と言ってきたが、日本の占領時代に基本的な大きな仕組みが作られ、自分たちの手で仕組みを作ったとは言えない。
21世紀にふさわしい新たな仕組みを自分たちの手で作っていくべきだというのが私の信念であり、憲法についても結果を出していく必要がある。
憲法調査会の議論がさらに深まり、国民の議論が広がり、深まっていくことを期待したい」と述べました。
また、安倍総理大臣は、集団的自衛権の行使を可能にする安全保障法制の整備について、「この国会で法整備を進めたい。
70年前と現在では大きく世界は変わったのに頭の中が70年前のままでは、日本人の命や幸せな暮らしを守ることはできない。
国民に丁寧に説明していくことが求められている」と述べ、重ねて意欲を示しました。
さらに、安倍総理大臣はいわゆる従軍慰安婦の問題などを巡り、アメリカの出版社が発行する公立高校などの世界史の教科書に事実誤認が確認されたとして、政府が訂正を求めていることに関連し「私も本当にがく然とした。
国際社会では、慎ましくしていることによって評価されることはなく、主張すべき点はしっかりと主張していくべきだ。
日本の名誉に重大な影響を与える訴訟も増えており、法務省に訟務局を新設し、戦略的に取り組んでいきたい」と述べました。
公明党の石井政務調査会長は、日韓関係について「ことしは戦後70周年であるとともに、日韓国交正常化50周年に当たる。
慰安婦問題をどのように扱うのかは極めて難しい問題だが、節目の年に日韓首脳会談をぜひ実現してほしい」と述べました。
これに対し、安倍総理大臣は「国交正常化50周年にふさわしい年にしたい。
韓国は戦略的利益を共有する大切な隣国だ。
日韓間には難しい問題もあるが、前提条件をつけずに首脳レベルでも率直に話し合うべきで、日本は常に対話のドアをオープンにしている。
日中韓外相会議や首脳会議の開催に向けて、議長国、韓国を中心に関係国の努力が前に進むことを期待している。
大局的な観点から話し合うべき課題はたくさんあり、日韓の協力は両国にとっての国益だ」と述べました。
民主党の長妻代表代行は、安倍内閣の経済政策に関連して「わが国は特に低所得者層の家計が非常に痛んでいる。
所得格差が拡大すると経済成長は低下するが、格差問題に取り組めば、社会を公平化し、経済を強固にすることができる。
税の再分配機能をさらに強めていくべきだ」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「労働市場では高齢者の再雇用もあり、非正規雇用者の数が増加しているが、一方で非正規雇用者を取り巻く雇用環境が改善しているのも事実だ。
われわれが政権を担い、政策をスタートしてから仕事に就けない人の数は確実に減ってきている。
しっかりと成長して、成長の果実がどのように分配されるかが大切で、成長せずに分配だけを考えていけば、だんだんじり貧になっていく」と述べました。