政府予算、安倍官邸が主導 統一選にらみ地方手厚く

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 2015年度の予算編成は、昨年末の衆院選を勝ち抜いた安倍晋三首相の意向が強く反映された。春の統一地方選をにらんだ地方向けや、離島を守る防衛力の強化は聖域となる一方、経済政策「アベノミクス」で広がりつつある格差を是正するような「目配り」は目立たなかった。

 「新幹線の開業効果は非常にある。前倒しできたのはありがたい」。自民党稲田朋美政調会長は14日、官邸で記者団に語った。

 この日あった整備新幹線をめぐる政府・与党の検討委員会で、稲田氏の地元を通る北陸新幹線の金沢―敦賀間の開業の3年前倒しなどが決まり、予算案にも反映された。党幹部は「新幹線は満額回答だ」。4月の統一地方選に向けたアピール材料として公明党が強く働きかけてきた子育て世帯向けの給付金や、地方創生に向けた1兆円の予算枠も盛り込まれた。

 だが、党内からは「後はぱっとしなかった。日程がきつく、与党が関与できる余地が少なかった」との声も漏れる。突然の衆院解散で予算編成の時期は大幅に遅れた。総選挙の大勝を受けて「官邸主導」が強まり、編成作業は終始、首相側のペースだった。

 消費増税を先送りして解散に踏み切った首相がこだわったのは、「経済成長と財政再建の両立。それだけだった」(首相周辺)。増税の先送りで欧米系格付け会社国債の格下げや検討を発表するなど、財政再建への懸念が表面化していたためだ。

 官邸は、新年度に基礎的財政収支の赤字を10年度比で半減させる目標は守る▽国債発行額は減らす――といった「大枠」を財務省に指示。半減目標については、首相自ら麻生太郎財務相甘利明経済再生相らに「守ってほしい」と再三、念を押した。