衆院選に向け集団的自衛権巡り論戦活発に

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衆議院選挙は事実上の選挙戦が本格化しており、集団的自衛権の行使容認を巡って、与党側が先の閣議決定に基づき来年の通常国会で法整備を着実に進めるとしているのに対し、民主党などは閣議決定の撤回を求めていて、論戦が活発になっています。

衆議院選挙は来月2日の公示を前に、各党とも党首らが街頭演説や集会で支持を訴えるなど事実上の選挙戦が本格化する一方、各党の公約の発表が相次いでおり、27日は公明党社民党が発表します。
これまでのところ、安倍政権の経済政策・アベノミクスに加え、集団的自衛権の行使容認を巡っても論戦が活発になっています。
このうち、自民党は、ことし7月の閣議決定に基づいて、いかなる事態に対しても国民の命と平和な暮らしを守り抜くための切れ目のない対応が可能となるよう、来年の通常国会で、集団的自衛権を行使できるようにするための安全保障法制の整備を着実に進めるとしています。
安倍総理大臣は「日本のこの70年にわたる平和国家としての歩みは、全く揺るぎがない。閣議決定は、地域や世界の平和を守る責任を果たしていくために有意義な決定だったと確信している」と述べました。
公明党は、安全保障法制が閣議決定を適確に反映した内容となるよう、政府・与党で調整しながら国会などを通じて議論を深め、国民の理解が得られるよう丁寧に取り組むとしています。
山口代表は「憲法の歯止めをしっかりと守って、自衛隊に外国で武力を使わせないという閣議決定を作り上げられたのは、公明党がいたからだ」と述べました。
一方、野党側は、民主党が「専守防衛と平和主義を堅持する」として、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定の撤回を求めたうえで、武力攻撃に至らない侵害、いわゆるグレーゾーン事態などで自衛隊の対処を可能にする「領域警備法」を制定するとしています。
海江田代表は「安全保障の問題についても、安倍総理大臣が『この道しかない』と思い込むのは非常に危険だし、国民を欺く行為だ。民主党としては、集団的自衛権の問題を争点にしていく」と述べました。
維新の党は、日本への攻撃か他国への攻撃かを問わず、国の存立が脅かされる場合について、今の憲法のもとで可能な自衛権の行使の在り方を具体化し、必要な法整備を行うとともに、グレーゾーン事態に対処するための「領域警備法」を制定するとしています。
柿沢政務調査会長は「自主防衛力を強化し、領域警備法を制定して、沖縄県尖閣諸島などの海域で起きているようなことを抑止し、防止していく」と述べました。
次世代の党は、集団的自衛権に関する憲法解釈を適正化するとともに、個別的自衛権集団的自衛権の行使の要件を明確化する安全保障基本法制を整備するほか、グレーゾーン事態などに関する法整備も行うとしています。
山田幹事長は「次世代が胸を張れる日本を作るために、安全や名誉をきちんと守っていくことが必要だ」と述べました。
共産党は、「海外で戦争する国づくりを許さない」として、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定を撤回させるとしています。
志位委員長は「抜本的な対案として、紛争を話し合いで解決する枠組みを北東アジアにも構築するなど、憲法9条の精神に立った外交戦略を進めるべきだ」と述べました。
生活の党は、憲法改正のない集団的自衛権の行使容認には憲法9条にのっとって断固反対するとしているほか、沖縄県のアメリカ軍普天間基地の国外・県外への移設を検討するとしています。
社民党は、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定の撤回を求めるとともに、専守防衛の徹底を図るとしています。