アベノミクスなど争点に 事実上の選挙戦へ

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衆議院が21日に解散され、各党は来月2日公示、14日投票の衆議院選挙に向けて、事実上の選挙戦に入りました。
与党側が、安倍政権の経済政策・アベノミクスの継続を訴えるのに対して、野党側は、アベノミクスや、解散に踏み切ったこと自体を批判し、対決する構えです。

衆議院は21日に解散され、これを受けて政府は臨時閣議を開いて、衆議院選挙を来月2日公示、14日投票の日程で行うことを正式に決めました。
衆議院選挙が行われるのは、おととし12月以来で、各党は2回連続となる「師走選挙」に向けて、事実上の選挙戦に入りました。
安倍総理大臣は解散後の記者会見で、「この解散は『アベノミクス解散』だ。アベノミクスをさらに前に進めるのか、それとも止めてしまうのか、それを問う選挙だ。景気回復、この道しかない。そのことを選挙戦を通じて皆さんにしっかりと訴え続けたい」と述べ、アベノミクスの継続の是非を争点に据える考えを示しました。
自民党は、政権公約で「景気回復、この道しかない。」をスローガンに掲げ、景気対策成長戦略に加え、来年度から法人税の実効税率を引き下げるなどの改革を行い、経済再生と財政再建を両立させることを柱とする方針で、来週25日に決定し、発表することにしています。
谷垣幹事長は「雇用や賃金など、いろいろな意味でいい循環が出てきている。その流れを信任してもらえるかが中心的な問題だ。過半数をとることは最低限の目標で、そこからいかに上乗せしていくかが課題だ」と述べました。
公明党は、マニフェストで、平成29年4月の消費税率の引き上げと同時に、食料品などを対象にした軽減税率の導入を目指すことや、消費税率の引き上げまでの間に、デフレ脱却や経済再生に取り組むことを打ち出す方針で、最終的な取りまとめの作業に入っています。山口代表は「『デフレ脱却推進解散』だ。やるべき経済対策をしっかりやり、デフレ脱却や経済再生を力強く前に進めることが、先の希望と安心につながる。与党としては、安定的な多数の議席として、およそ270議席の獲得を目指したい」と述べました。
一方、民主党は、「『アベノミクス』を転換し、厚く豊かな中間所得層を復活させる」として、女性や子どもの貧困対策や、介護報酬の引き上げなどを重点政策としたマニフェストの取りまとめを急いでいて、24日に全国幹事長会議を開いて、こうした方針を徹底することにしています。
海江田代表は「選挙の争点は、安倍政権の経済政策をこのまま続けて、国民が本当に豊かになるのかどうかや、立憲主義を無視した集団的自衛権の行使容認など、安倍政権の体質そのものを問うことだ。目標は候補者全員の当選だ」と述べました。
維新の党は、江田共同代表が「多額の税金を使った、国民そっちのけの解散だが、解散された以上は政策の旗印を高々と掲げて、自民党にも民主党にもできない本当の改革を訴えたい。候補者全員の当選を目指すとともに、与党を過半数割れに追い込んで、政権を狙う選挙にしたい」と述べ、国会議員の定数と歳費の3割削減や、首相公選制の導入、消費税の地方税化、道州制への移行などを盛りこんだ公約を、22日に公表する方針です。
次世代の党は、平沼党首が「大義なき解散にわれわれは反対だが、解散権は総理大臣にあるので、解散された以上は正々堂々と戦う」と述べ、将来世代につけを回さない政策を実現するとして、追加の金融緩和を撤回するなど「アベノミクス」の軌道修正や、自主憲法の制定、国の会計制度の改革などを公約の柱に据えることにしています。
共産党は、志位委員長が「世論に追い込まれた解散であり、国民が安倍政権の暴走にストップの審判を下し、政治を変える大きなチャンスだ」と述べ、議席の上積みを目指して、消費増税アベノミクスの中止、集団的自衛権の行使容認の反対、原発再稼働の反対、沖縄での新基地建設の反対などを盛りこんだ公約を来週公表することにしています。
生活の党は、小沢代表が「『国民の生活が第一』という党の考えに基づいて、多くの人が安定した生活を送れるように、セーフティネットを作り上げていくことを訴えていきたい」と述べ、非正規雇用の拡大を防ぐことや、国の権限を地方に移す分権改革を進めることなどを訴える方針です。
社民党は、吉田党首が「政策の転換が必要で、集団的自衛権の行使容認や、原発再稼働を許さないということをしっかりと訴えていく」と述べ、消費税率の引き上げの中止や、脱原発社会の実現、TPPへの参加反対などを公約の柱とすることにしています。
このように、今回の選挙では、与党側がアベノミクスの継続を訴えるのに対して、野党側はアベノミクスや解散に踏み切ったこと自体を批判し、総力戦を繰り広げることになります。