税率引き上げ先送り 衆院解散 今夜表明へ

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安倍総理大臣は、GDP=国内総生産の伸び率が2期連続のマイナスとなったことなどを受け、18日の自民党の臨時役員会への出席などを経て、夜に記者会見し、消費税率の引き上げを1年半先送りし、そのみずからの判断について国民に信を問いたいとして、衆議院を解散する考えを表明することにしています。
これに対して野党側は、安倍政権の経済政策・アベノミクスは失敗だと批判を強めていて、アベノミクスの是非を選挙の争点に据える構えです。

安倍総理大臣が、消費税率を来年10月に予定どおり10%に引き上げるかどうかを判断する際、重視するとしてきた、ことし7月から9月までのGDP=国内総生産の実質の伸び率は、年率に換算してマイナス1.6%で、2期連続のマイナスとなりました。
安倍総理大臣と麻生副総理兼財務大臣は17日、外国出張から帰国する政府専用機の機内で対応を協議し、消費税率の引き上げを平成29年4月まで1年半先送りせざるをえないという認識で一致しました。
そして、帰国した安倍総理大臣は公明党の山口代表と会談し、消費税率の引き上げ先送りと衆議院の解散などを巡って意見を交わし、公明党が求める軽減税率の導入について、次に消費税率を引き上げる際には導入を前向きに検討する考えを伝えました。
安倍総理大臣は、「来年、消費税率を引き上げるべきかどうか、冷静に分析し判断したい」と述べ、公明党の山口代表は、「法律で決められた予定を変えるなら、国民の理解を得て前に進むチャンスをどう求めるかも含め、安倍総理大臣の判断に任せるべきだ」と述べました。
安倍総理大臣は18日夕方、自民党の臨時役員会に出席し、消費税率引き上げを先送りするみずからの判断について国民に信を問いたいとして、衆議院を解散する考えを伝えることにしています。
衆議院選挙は来月2日公示、14日投票となる見通しです。
また安倍総理大臣は、18日に最終回を迎える政府の「点検会合」について、甘利経済再生担当大臣らから報告を受けたあと、経済財政諮問会議で、円安対策などを盛り込んだ新たな経済対策の取りまとめを指示することにしています。
そして安倍総理大臣は公明党の山口代表との与党党首会談を改めて行い、みずからの判断について了承を得たうえで、18日夜に記者会見し、消費税率の引き上げを先送りし、衆議院を解散する考えを表明することにしています。
これに対して野党側は、アベノミクスは失敗だと批判を強めていて、アベノミクスの是非を選挙の争点に据える構えです。
このうち民主党は、アベノミクスを転換すべきだとして、中間所得層に手厚い経済政策をマニフェストの柱に据えて選挙戦に臨む考えで、18日に連合と衆議院選挙の政策協定を結ぶことにしています。
海江田代表は、「アベノミクスは国民生活にいい影響を与えておらず、成功しなかったことが明らかになる前に衆議院を解散しようというのが、安倍総理大臣のねらいではないか」と批判しました。
また維新の党は、小沢国会議員団幹事長が、「衆議院の解散・総選挙を行うような状況ではなく、きちんと景気対策をやるべきだ」と述べる一方で、18日にも42人の現職議員を含む第1次の公認の候補者を内定するとともに、民主党との候補者調整を急ぐ方針です。
次世代の党は、50人以上の候補者を擁立する方針で、石原最高顧問も立候補する方向で調整を進めています。
一方、みんなの党は17日夜、一部の中堅・若手議員が会合を開き、党の路線を巡る党内の意見に大きな隔たりがあるとして、党を解党すべきだという意見が相次ぎました。
党内では、民主党との合流も視野に置く執行部と、与党との関係を重視する渡辺前代表や、他の野党との連携を目指す議員らとの間で対立が激しくなり、幹部からも、今の状況が続くようなら解党もやむをえないという声も出始めており、執行部の対応が焦点となっています。
共産党は、山下書記局長が「今の景気悪化は、円安による物価上昇に加え、消費増税を強行した結果によるもので、増税不況だ」と述べるとともに、原則としてすべての小選挙区に候補者を擁立する方針で、242の選挙区で候補者を内定しました。
生活の党は、小沢代表が「アベノミクスは国民の負担を重くしただけで、失敗というより何もなかったということだ」と批判するとともに、野党が結集して新党を結成すべきだという認識を示しました。
社民党は、小選挙区で30人以上の候補者の擁立を目指す方針です。
一方、安倍総理大臣は、内閣の重要課題の1つである「地方創生」の関連法案が参議院で成立するのを待って解散に踏み切る意向で、政府与党内には19日、参議院本会議で採決し、成立させるべきだという意見が出ています。
ただ、自民党参議院側には、野党側の理解も得て混乱なく成立させるため、採決は21日が望ましいという声もあることから、与党側は19日以降、連日、衆議院本会議を開く日程を加え、いつでも解散に踏み切れるよう環境を整備する方針です。