首相「中国側も関係改善に積極的」

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安倍総理大臣は、参議院予算委員会の基本的質疑で、冷え込んでいる日中関係について、「中国側も関係改善に以前よりも積極的になってきていると受け止めている」と述べたうえで、「戦略的互恵関係」を深めていくため、幅広い分野での協力や対話を積極的に進めていく考えを示しました。

この中で、自民党の堀井巌参議院議員は、内閣の重要課題の1つである「地方創生」に関連して、「東京一極集中の流れを変えていくよう国全体が本気でやる必要がある。中央省庁の移転を政府が発信すれば、社会全体が『本気でやっている』と受け止めるのではないか」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「東京の一極集中の是正は重要な課題で、ご指摘の点も十分に傾聴に値すると思う。首都機能の移転は国会主導で討論が行われてきたが、その後、議論が止まってしまった。国会での議論が進むことがまず大事で、国会から要請があれば、国民への情報提供や必要な調査を行うなど適切に対応していきたい」と述べました。
公明党の荒木参議院政策審議会長は、日中関係について、「国交正常化以来最悪だった日中関係だが、改善への兆しも出てきている。もう1回原点に戻って、政治、経済、文化など、あらゆる分野で官民挙げて対話、交流を深めていかなければならない」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「きのうも中国の演劇を鑑賞し、中国要人とも話をする機会があった。先月、習近平国家主席も『長期にわたり、安定した日中関係の健全な発展を推し進めたい』と述べており、中国側も関係改善に以前よりも積極的になってきていると受け止めている」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は「『戦略的互恵関係』の実質を深めていくため、幅広い分野での協力、対話を積極的に進めていくことが重要だ。およそ2年ぶりの『日中高級事務レベル海洋協議』の開催は有意義で、防衛当局間の『海上連絡メカニズム』の早期の運用開始に向けて中国側と必要な調整を早期に進めていきたい」と述べました。
また、安倍総理大臣は、韓国との関係について、「さまざまな国際会議の機会に首脳会談ができればよいと思う。一歩一歩、お互い努力を積み重ねていくことが大切で、慰安婦問題や歴史認識など過去の問題は、わが国のこれまでの取り組みや立場を韓国側にしっかり受け止めてもらうため、引き続き説明を重ね、粘り強い取り組みを通じて関係改善を図っていく考えだ」と述べました。
一方、安倍総理大臣は、日本人研究者3人がノーベル物理学賞を受賞したことに関連して、「最もイノベーションに適した国の実現を目指して、人材育成や魅力あふれる研究環境の整備とともに、産学官の壁を越えた取り組みを推進し、青色発光ダイオードのような革新的な科学技術イノベーションの創出につなげたい」と述べました。
みんなの党の水野幹事長は、北朝鮮による拉致被害者らの調査について、「1回目の報告が夏の終わりから秋の初めと言っていたが先送りされた。北朝鮮側が約束をほごにしたという認識なのか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「拉致被害者の方々の明確な生存情報も含めた報告などがあるものと期待していたが、北朝鮮側は『調査を行っている現状の報告をしようと考えていた』という認識で、大変残念な状況になっている。今後も拉致問題の全面解決に向けて、全力で取り組んでいきたい」と述べました。
これに関連して、岸田外務大臣は「調査自体を前に進めるために具体的に何をすべきか、政府全体として検討している。現時点で北朝鮮に対する制裁措置を元に戻すことは考えていない」と述べました。
また、安倍総理大臣は、香港で民主的な選挙を求めて学生らが抗議活動を続けていることに関連して、「香港の民主的な安定と繁栄は、アジア太平洋地域が今後も豊かに発展していくうえで極めて重要で、情勢の推移を注視している。香港政府と学生側との対話が実現し、事態が平和裏に収束することを望んでいる」と述べました。