自民党人事に透ける首相の思惑 基盤強化・中国も意識か

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 安倍晋三首相が新たな自民党三役の人事を固めた。党重鎮の谷垣禎一法相(69)を幹事長に、二階俊博・元経済産業相(75)を総務会長に充てて党内基盤の強化を狙う一方、中国にパイプを持つ2人の起用で関係改善へのメッセージを送る狙いもあるとみられる。また、首相の考えに近い稲田朋美行政改革相(55)を当選3回で政調会長に抜擢(ばってき)、保守派の人材育成にも手を打った。

 「渦中の人は発言しないものだ」。谷垣氏は2日夜、東京都内で幹事長就任の打診を受けたのかと問われると、こうかわした。だが、終始笑顔だった。

 首相は、来秋の総裁選で最大のライバルと目された石破茂幹事長を閣内に取り込んで動きを封じ、総裁まで務めた谷垣氏を格下の幹事長に迎えるというサプライズ人事で、党内基盤や公明党との関係強化を狙った。

 谷垣氏に加え、総務会長となる二階氏は、連立を組む公明党とのパイプが太い。

 谷垣氏と山口那津男代表は民主党政権時代、野党党首として結束を保ち、今でも良好な関係にある。また、二階氏は自民党を離党後、新進党や保守党の結成に参加。その際に公明党との人脈を広めた。来春の統一地方選を前に、集団的自衛権の行使容認をめぐってぎくしゃくした両党関係を再構築するには、うってつけの人選でもある。

 また、今回の党役員人事は、今後待ち受ける「日中関係の改善」と「消費増税」という外交、内政の大きな課題に対応する体制も築いたことになる。