政府、集団的自衛権行使へ閣議決定 憲法解釈を変更

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 安倍内閣は1日夕、臨時閣議を開いて、憲法解釈を変えて集団的自衛権を使えるようにするための閣議決定をした。安倍晋三首相が記者会見し、行使を認める理由などを説明する。日本が直接攻撃を受けない場合も、密接な関係にある他国が攻撃された場合に武力を使って反撃できるようになる。「専守防衛」に徹してきた戦後日本の安全保障政策の大転換となる。

 これに先立ち、同日朝の自公両党による「安全保障法制整備に関する与党協議」で、集団的自衛権の行使を認める政府の閣議決定案が異論なく了承された。

 与党協議後に自民党が開いた総務会では、村上誠一郎元行革担当相が「憲法解釈の変更は認められない」と反対したが、閣議決定案は了承された。同日午後には、自民党総裁の安倍首相と公明党山口那津男代表ら与党幹部が会談し、合意内容を確認した。

 日本はこれまで、政府見解などで自衛権発動の3要件を挙げて個別的自衛権の行使のみを認め、集団的自衛権での武力行使は禁じてきた。閣議決定案では、日本が武力を行使する前提条件となる「新3要件」に基づき、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」した際、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」などの条件を満たせば、「自衛の措置」として武力行使ができるとした。

 ただ、新3要件には抽象的な文言が多く、行使に具体的な歯止めをかける規定はない。集団的自衛権だけでなく、国連決議に基づいて侵略国などを制裁する集団安全保障でも、「自衛の措置」として武力を使える可能性がある内容となった。

 政府は今後、集団的自衛権の行使を前提に、年末をめどに日米安全保障条約に基づいて双方の役割分担を決める「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)の改定に臨む。また、自衛隊法など関連法制の改正や整備を進めていく方針だ。