寄付文化が揺れている NPO優遇に見直しの動き

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 NPO法人などの市民活動を後押しする寄付優遇税制が揺れている。縮小を狙う「官」が与党という「政」に近づき、それに対抗しようと「民」もまた与野党との連携に動く。

 「認定NPO制度が危ない!?」

 5月上旬、東京・中野サンプラザの会議室。NPO関連の制度づくりを引っ張る「シーズ・市民活動を支える制度をつくる会」の代表理事、松原明(54)の解説に、130人を超える関係者が耳を傾けた。

 安倍政権が実現を急ぐ法人税率引き下げに伴い租税特別措置の見直しが始まり、NPOも対象に。さらに、寄付額の最大50%近くが戻る「税額控除」が縮小される恐れもある。

 自民党公明党が昨年まとめた与党税制改正大綱に、税額控除について「対象範囲などを検討する」と書き込まれたからだ。

 集会では、疑問や怒りの声が相次いだ。税額控除制度ができたのはわずか3年前、2011年の夏のことだ。民主党政権が「新しい公共」を掲げて市民の役割を重視するなか、東日本大震災が起きて被災地支援が緊急の課題となり、与野党の賛成で実現した。

 税負担を軽くする手法は国際的にも所得控除が中心だが、所得控除と税額控除から有利な方を選べるようにし、事実上寄付優遇を拡大した。

 NPO法人が、基盤強化のためにようやく手にした「武器」だ。優遇税制の対象となる「認定NPO法人」への門戸を広げる法改正も行われ、1認定法人あたりの寄付金額は、制度改正前から倍増している。

■復活する省庁の力、危機感強めるNPO

 与党に税額控除見直しを働きかけたのは、税制を担当する財務省だ。「所得控除との選択制だと税務署の事務が面倒だ」という。