20日開始の与党協議はグレーゾーンから

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自民・公明両党は、20日から集団的自衛権などを巡る与党協議を始めることにしていて、まずは、双方が、法整備が必要だという認識で一致している、武力攻撃に至らない侵害、いわゆるグレーゾーン事態への対応から検討に入る方針です。

自民・公明両党は、安倍総理大臣が先週、憲法解釈の変更によって、限定的に集団的自衛権の行使を容認することを視野に検討を進める考えを表明したのを受けて、20日から週1回程度のペースで与党協議を始めます。
協議には、自民党から高村副総裁や石破幹事長らが、公明党からは北側副代表や井上幹事長らが参加し、20日の初会合では政府から、安倍総理大臣が設置した有識者懇談会の報告書の内容や、安倍総理大臣が記者会見で示した政府としての基本的方向性について説明を受けることにしています。
そのうえで、報告書に盛り込まれた、集団的自衛権、PKO・集団安全保障、グレーゾーンの3つの分野のうち、漁民を装った武装集団が日本の離島に上陸してくる場合など、武力攻撃に至らない侵害、グレーゾーン事態への対応が喫緊の課題であり、法整備が必要だとして、最初の議題とすることを確認する見通しです。
また、自民・公明両党は、今後の与党協議で、PKO活動に参加する国連職員などが攻撃を受けた場合に自衛隊が武器を使って救援する、いわゆる「駆けつけ警護」を可能にするための法整備も検討することにしています。
一方、焦点の集団的自衛権の行使容認を巡って、両党は、グレーゾーンへの対応の検討と並行して水面下で調整を進めることにしています。
自民党は、朝鮮半島有事の際のアメリカ艦船の防護など、行使を容認しなければ実行できないと考えられる具体的な事例に沿って検討し、公明党の理解を得たいとしていて、高村副総裁は18日、「ことしの年末までに行う予定の日米防衛協力の指針=いわゆるガイドラインの協議が始まる前に、集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈の変更を閣議決定したい」と述べました。
これに対し、公明党は、井上幹事長が18日、「集団的自衛権の問題で、政権が代わったら憲法解釈がころころ変わるようなことはあってはならず、本当に慎重な議論が必要で、ハードルはかなり高い」と述べるなど、行使容認に慎重な姿勢を堅持していて、調整が難航することは避けられない見通しです。

グレーゾーンとは

グレーゾーンとは、他国などから武力攻撃を受けているとまでは認定できないものの、警察や海上保安庁による警察権の行使などでは十分対応できないような日本への侵害が起きる事態を言います。
有識者懇談会の報告書では、グレーゾーンの具体的な事例として、ほかの国の潜水艦が水中に潜った状態で日本の領海に侵入し退去要求に応じない場合や、海上保安庁などでは速やかに対処できない海域や離島で、船舶や民間人に対し武装集団が不法行為を行う場合などを挙げています。
そして、実力の行使も含め、切れ目のない対応を可能とする法制度を充実させていく必要があると提言しています。
この報告書を受けて、安倍総理大臣は記者会見で、みずから具体例として漁民を装った武装集団が離島に上陸してくる場合を挙げ、対処を一層強化する必要があるとしてこれまでの憲法解釈の下でも可能な立法措置を検討していく考えを示しました。
また、与党内にも、沖縄県尖閣諸島を巡る状況などを考えれば、不測の事態に備え速やかな対応が必要だという意見があります。