「逆ギレ選挙」「大義ない」 各党、橋下市長を批判

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 大阪市橋下徹市長が、出直し市長選に踏み切る意向を表明した。大阪都構想を公約に掲げ、大阪府知事から市長に転じて約2年。「都構想を動かすため」との理由だが、都構想以外の市政改革はストップする。

 ■橋下氏「わがままを許して」

 「大義なき選挙だ」

 公明党大阪府本部幹部は、こう突き放した。

 インターネットの動画サイトによると、橋下氏は1日の党大会で、都構想への協力を求める代わりに2012年の衆院選で公明に協力したことを強調。「支持基盤(創価学会)の皆さんは宗教を説いていますが、宗教の前に人の道があるんじゃないかと思っています」と激しく批判し、拍手を浴びた。

 公明市議団幹部は「都構想の議論を深めることは約束したが、白紙委任で賛成したわけではない」と反論する。公明党府本部は1日、「月曜日の市長の会見を見てから対応を考える」との方針を確認した。府本部幹部は「自公で対抗馬を立てる可能性は低い。市長に独り相撲を取らせた方が得策だ」と語る。

 自民党も静観の構えだ。府議団の花谷充愉幹事長は出直し選を「逆ギレ選挙」と批判。「市議会の構成は変わらず、来年4月に都構想ができるわけはない。無駄な選挙は必要ない」と述べ、対立候補の擁立に動く考えのないことを示した。

 民主党大阪府連も1日の会合で「『無視論』で行くことになった」(幹部)。自民、公明と足並みをそろえ、共産に候補を擁立しないよう働きかけるという。過去には09年の岐阜市長選で、議会の反発を受けた市長が辞職して出直し選挙となったが、対立候補が出ずに無投票当選に終わったケースがある。

 維新の内部でも賛否両論が渦巻く。橋下氏が出直し選挙を宣言した全体会議に出た複数の議員によると、「出直し選をしても議会構成は変わらない」「都構想をもっと浸透させるべきだ」といった慎重論も多かった。最終的に橋下氏が「組織でなく個人でやる。わがままを許して欲しい」と押し切ったという。

 維新議員は「大義ははっきりしないかも知れないが、大阪都構想を止めては維新の存在意義にかかわる」と理解を示した。

 大阪市選管によると、市長選の費用は「5億〜6億円程度」とみられる。