参拝、制止退け強行 党幹部「もう誰も止められない」

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 安倍晋三首相が26日、東京・九段北の靖国神社に参拝した。消費増税や特定秘密保護法、沖縄の普天間問題などの諸課題にめどがつき、「参拝ショック」が出にくい時期を選んだとみられるが、A級戦犯合祀(ごうし)への批判などから中国や韓国は反発し、米国も「失望している」との声明を出した。自らの「信条」を優先したことで政権の変質を印象づけ、今後、政権を支えてきた「日米同盟重視」や「経済最優先」の路線が揺らぎかねない。「恒久平和への誓い」と題した首相談話もこれまでの言動との食い違いがうかがえる内容だ。

 「自分の決断として参拝します」。26日午前、公明党の山口那津男代表のもとに安倍晋三首相から電話があった。山口氏が「賛同できない」と反対したが、首相は「賛同いただけないとは思います」とにべもなかった。自民党の石破茂幹事長にさえ当日通告。党幹部は「もう誰も止められなくなっている」とぼやいた。

 「寝耳に水」だったのは、与党幹部だけではない。米国にも参拝直前まで伝えなかった。

 「中国を刺激しない方がいい」。11月、訪米した首相の盟友・衛藤晟一首相補佐官は、米政府高官から参拝しないよう求められていた。訪米の表向きの目的は、北朝鮮情勢についての意見交換だったが、実は菅義偉官房長官から首相が靖国参拝した場合の反応を探るよう指示されていた。

 国内外の制止を振り切った突然の参拝だったが、伏線はあった。10月、秋季例大祭への参拝を見送った直後、首相は周囲に「参拝するのをやめたわけじゃない」と漏らしていた。