家計に厳しく企業は優遇 税制大綱 派遣労働も制限緩和

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 安倍政権が、個人の家計や働き方よりも、企業の活動をより優遇する経済政策を打ち出した。自民、公明両党が12日決めた来年度の税制改正大綱では、消費増税の負担をやわらげる「軽減税率」の導入判断を事実上、先送りしたほか、会社員の所得増税など「負担増」を相次いで決めた。一方、法人減税や派遣労働者を使いやすくする法改正を進めるなど、企業への支援はさらに手厚くなった。

 【鯨岡仁】「アベノミクス」は、市場に出回るお金の量を大胆に増やす金融緩和や公共事業で景気を下支えする経済政策。政権は「第3の矢」として、法人減税などで企業の収益を増やして経済成長につなげる成長戦略を描く。企業を後押しする財源を確保しようとした結果、個人に「負担増」がしわ寄せされた。

 来年度税制改正は、この秋に決めた設備投資減税などを含めると、差し引きで1兆5千億円の減税だ。その恩恵の大半は、黒字を出す企業が受ける。震災復興に使うために導入した「復興特別法人税」を1年前倒しして今年度限りで打ち切る。これで8千億円の法人減税になるのが大きい。