来春の熊本県知事選、現職相乗りに変化 民主は自主投票

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 来春の熊本県知事選で、前回は現職に共産以外の各党が相乗りした政党による支援の構図に変化が出ている。現職と新顔が立候補を表明。自民は前回同様、現職の全面支援に回るが、民主は自主投票を決めた。

 同知事選には、3選をめざす現職の蒲島郁夫氏(68)、新顔で前熊本市長の幸山政史氏(50)が立候補を表明している。ともに政党の公認や推薦は求めていない。ほかに共産党県委員会も友好団体との間で候補者選びを進めている。

 熊本市で10日夜にあった蒲島氏の政治資金パーティー。あいさつに登壇した政党関係者は自民党県連の山本秀久会長だけだった。県連は良好な関係の蒲島氏を「公認以上に重い位置づけで全面支援する」と決め、1日に選対を発足させた。

 一方、民主党県連は7日の幹事会で正式に「自主投票」を決めた。当初は自民と相乗りで蒲島氏を支援する動きを見せていた。県連代表の鎌田聡県議は9月中旬、県議会の代表質問で「知事には3選へ、がんばっていただきたい」と蒲島氏の3選支持を表明した。9月下旬に来県した岡田克也代表も蒲島氏と懇談し、「熊本にとってもいいことだと思う」と伝えた。

 ところが10月に入って一変。県連幹部が集まった会議で「来夏の参院選を考えると、自民が丸抱えする蒲島氏を応援するのはいかがなものか」と反対意見が噴出した。幸山氏に対し、県連が民主党からの参院選への立候補を打診していた経緯もあった。

 県連顧問の松野信夫・元参院議員は「自民が蒲島さんを全面応援するのだから、どう動いても知事選で存在感を示すのは難しい。『知事選よりも参院選』という声が強い」。鎌田代表は「県議会会派として蒲島氏を支援する」と釈明したが、幸山氏支持に前向きな県議もいて分裂の様相だ。

 2012年の前回知事選は蒲島氏と共産党県委員長の一騎打ち。自民、民主、公明、社民が県レベルで蒲島氏を支援する多党相乗りだった。政権与党だった民主は下野した後、13年参院選で現職の松野氏が自民新顔に敗れ、昨年の熊本市長選と衆院選は候補者を擁立できなかった。

 公明、維新、社民は知事選について現時点では静観しており、正式な態度は決めていない。(河原一郎、籏智広太)