政府は、
ユネスコ=
国連教育科学文化機関が「
南京事件」を巡る資料の「記憶遺産」への登録を決定したのは政治的な中立性が保たれていないとして、分担金や拠出金の支払い停止なども含めて、具体的な対応を検討することにしています。
ユネスコは、中国が申請した、旧日本軍が多くの中国人を殺害したなどとされる「
南京事件」を巡る資料を「記憶遺産」に登録することを決定しました。
これについて、政府与党内からは政治的な中立性が保たれていないという批判や疑問が出ていて、菅
官房長官は13日、「記憶遺産
事業が政治的に利用されることのないよう、政府としては
事業の制度そのものの公明性・透明性というものを強く求めていきたい」と述べました。また、
自民党の谷垣幹事長も「事実関係と違うことが、あたかも事実かのごとき受け止め方をされるときに、どのような手段をとればいいのか考えなければならない」と指摘しました。
今回の決定を受けて、政府は
ユネスコに対し、去年・平成26年におよそ37億円と全体の10%余りを負担している分担金や任意で支払っている拠出金の支払い停止や削減のほか、政治利用がされないよう登録制度の見直しを働きかけるなど、具体的な対応を検討することにしています。
ただ、外務省内には「今回の決定を理由に拠出金の停止などを行えば、日本の影響力が落ちる可能性があるほか、国際的な波紋も大きい」などとして慎重な意見も出ています。