参院選合区、自民と4野党合意 鳥取と島根、徳島と高知

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 参院選の「一票の格差」を是正する選挙制度改革で、自民党維新の党など野党4党は9日、隣り合う人口の少ない県を統合して新たな選挙区をつくる「合区(ごうく)」を含む「10増10減」案で合意した。合区は憲政史上初めてで、鳥取と島根、徳島と高知が対象。5党で参院の過半数となるため、今国会で公職選挙法改正案を成立させ、来夏の参院選からの適用をめざす。

 合意案は宮城、新潟、長野を2ずつ減らす一方、北海道、東京、兵庫を2ずつ増やす「6増6減」を実施。そのうえで鳥取と島根、徳島と高知の合区で2ずつ減らし、愛知と福岡を2ずつ増やして10増10減とする。最大格差は、昨年末に最高裁から「違憲状態」と指摘された2013年参院選の4・77倍から2・974倍に縮まる。

 10増10減案は、もともと維新の党、次世代の党、日本を元気にする会、新党改革の野党4党が提案。自民内では合区対象の県選出の議員の反発が強かったが、9日の参院議員総会で選挙制度改革案への対応を溝手顕正議員会長に一任。その後、溝手氏が4党と会談して合意した。

 一方、連立を組む公明党は、民主党とともに10合区によって一票の格差を1・953倍にする案を掲げている。公明の魚住裕一郎参院会長は9日、10増10減について「一票の格差が3倍(近く)だと違憲だ」と明言。「合憲の案を出さないとまずい」と述べ、民主と10合区案を共同提出する意向を示した。

 自民は人口の少ない県に強固な支持基盤を持つため、合区を避ける方策を探ってきたが、野党各党が合区そのものには賛成したため、合区ができるだけ少なくて済む案で妥協した。

 自民は今後、公明との調整に入るが、自公で採決の際の投票が割れる異例の事態も予想される。(高橋福子)