党派超えた反対包囲網 We Say NO!で連携

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 「勝った!」

 午後10時半過ぎ、大阪市中央区自民党大阪府連事務所。「反対多数確実」を伝えるテレビのテロップが流れると、府連幹部らが歓声を上げた。

 賛成票との差はわずか。会見した柳本顕市議団幹事長は「大阪市を守りたいという声を聞きながらも、現状を変えたいというメッセージが多くの市民の心にささったのも事実。地に足ついた市政を取り戻しつつ、全力をつくしたい」と述べた。同区の民主党府連で会見した尾立源幸府連代表も「改革の必要性は感じている。住民の合意を得ながら進めたい」と語った。

 住民投票の結果は、安倍晋三政権の改憲戦略にも影響するとみられている。共産党府委員会副委員長の清水忠史衆院議員は「憲法改正のためなら『安倍さん、何でも応援します』と言っていた橋下市長の影響力が後退する」と語った。

 住民投票の実施に協力した一方、いわゆる「都構想」案には反対の立場だった公明党佐藤茂樹府本部代表は「『ノーサイド』の精神で、任期満了まで混乱と対立を解消して前向きな議論をしていただきたい」と、政界引退を表明した橋下氏に注文をつけた。

 反対派は自民党大阪市議団が中心となり、民主、共産両党が連携。「We Say NO!」の共通キャッチフレーズを使って運動を展開した。

 4月の市議選では各党が分かれて戦ったため、賛成派の大阪維新の会議席増を許した。住民投票に向け、自治会組織「市地域振興会」や商店街でつくる「大阪市商店会総連盟」などが次々と反対を表明。橋下氏の府知事就任後に補助金を削られた府医師会や府トラック協会などの業界団体も反対派を支援した。

 連合大阪などでつくる政治団体「府民のちから2015」が反対運動の事務局を担い、「市民対維新」の構図をアピールした。3党の国会議員が並ぶ街頭演説会も開いた。

 自民と共産との共闘に菅義偉官房長官が「個人的には全く理解できない」と批判したが、協力態勢を崩さなかった。住民投票の実施で維新に協力した公明党は「自主投票」を決めた支持母体の創価学会に配慮し、当初は運動を控えたが、終盤に反対で組織を固めた。