自衛隊の邦人救出 首相関与の規定検討

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政府は、自衛隊による海外での邦人救出について、自衛隊の派遣を判断する際、総理大臣が関与する規定を設ける方向で検討していて、安全確保の面などで懸念を示している公明党の理解を得たいとしています。
自衛隊による海外での邦人救出を巡って、政府・自民党は、日本人がテロなどに遭遇した領域国の同意があり、その国の権力が維持されている範囲で活動できるようにしたいとしているのに対し、公明党からは、「自衛隊の安全を確保できるのか」といった懸念が示されています。
海外で緊急事態が起きた際の日本人の輸送について、自衛隊法84条の3は、防衛大臣外務大臣と協議して日本人の輸送を行うことができると定めていますが、政府は、公明党の懸念にも配慮して、邦人救出にあたっては自衛隊の派遣を判断する際、総理大臣が関与する規定を設ける方向で検討しています。
関係者によりますと、具体的には自衛隊の派遣命令や派遣の承認を総理大臣自身が行うことが想定されていて、政府側はこうした考えを自民・公明両党にもそれぞれ説明しているということです。
政府としては、意思決定の手続きに総理大臣を関与させることで、自衛隊の安全をより慎重に判断することにつながるとしていて、今後の与党協議で説明し公明党の理解を得たいとしています。
一方、「周辺事態」などの際に行う、自衛隊による他国の不審な船舶への立ち入り検査について、政府・自民党は、船長の同意を必要としないよう要件を緩和することを検討していましたが、公明党から「予期せぬ衝突につながるおそれが高い」などと反対意見が出ていることを踏まえ、緩和を見送ることも含め検討しています。