アベノミクス巡り各党党首が議論

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NHKの「日曜討論」で、与党側が安倍政権の経済政策・アベノミクスを引き続き推進し経済の好循環を全国に波及させる考えを示したのに対し、野党側は景気回復につながっていないなどとして政策の撤回や軌道修正を求めました。

安倍総理大臣は「アベノミクスは、企業の競争力を強化して収益力を上げ、雇用を拡大し、賃金を上げて、消費を拡大することで、デフレから脱却して経済を成長させ国民を豊かにする。これを進めていくことで全国津々浦々に景気回復の実感を届けたい。格差の問題も大切で、セーフティーネットを拡充していくための消費税の増税を平成29年4月にはきちんと行うとともに、経済を成長させて財源を確保し充実していきたい」と述べました。
公明党の山口代表は「アベノミクスによって失業率は下がり、大学生や高校生の就職内定率も上がり、企業の倒産件数も大きく減った。経済の好循環や景気回復を生み出しつつあり、これを続けていくことが必要だ。賃金をさらに上昇させ、物価に追いつき追い越すことが正しい道だ」と述べました。
民主党の海江田代表は「アベノミクスの1本目の矢は期待外れで、2本目の矢も財政を悪化させた。3本目の矢の成長戦略も全く姿が見えず、国民生活がボロボロになるのは絶対いいことではない。アベノミクスは急激な円安という副作用があり、影の部分への手当を考えなければならないのに、安倍総理大臣はそれを全く考えていない」と述べました。
維新の党の橋下共同代表は「アベノミクスを断行しながら、低中所得者をサポートするため、公共事業ではなく生活者支援という形で税を再配分すべきだ。議員や公務員の給与を2割ぐらい抑制すれば、毎年5兆円ぐらい捻出できる。身を切る改革を行い、官から民へ税金の流れを移していくことが必要だ」と述べました。
次世代の党の平沼党首は「アベノミクスは前半は成功したが、第3の矢の具体性が乏しいので、もっと具体的に国民に示さなければならない。地方が疲弊しているので、政府保証の基金を用意し、経済活性化のために思い切って使うことが必要だ」と述べました。
共産党の志位委員長は「アベノミクスは国民に2つの害悪をもたらした。1つは景気の悪化で、国民の反対を押し切って消費税率を8%に引き上げた結果だ。2つ目は格差の拡大で、経済政策を大企業応援から暮らし第一に転換することが必要だ」と述べました。
生活の党の小沢代表は「消費増税を延期したことは、景気がよくない証拠だ。景気をよくするには、日本経済の6割以上を支えている個人消費を拡大する以外なく、そのために、国民の生活を安定させ、収入を増やす施策を講ずるべきだ」と述べました。
社民党の吉田党首は「安倍総理大臣は、大企業や富裕層を応援すれば、その効果がしたたり落ち国民や地方、中小企業に及ぶというが、実際は及んでいないことがアベノミクスの最大の問題だ。ボトムアップの経済政策が求められている」と述べました。
新党改革の荒井代表は「大勢の人がアベノミクスは効果があると感じており、成功させなければならない。過去15年、20年の経済の沈滞から、ここまで回復したのだから、早く家庭や雇用によい効果がいくようにしなければならない」と述べました。
一方、衆議院の選挙制度改革に関連して、安倍総理大臣は「党どうしで話をしても決まらず、衆議院議長の下に有識者の調査会をつくったので、そこで決まったことには私たちは従う。議長の調整に従うということになれば、次の国会で改革できる」と述べ、民主党の海江田代表は、議長による調整に従い、次の国会で定数削減を実現したいという考えを示しました。