18日の安倍首相会見要旨

参照元 18日の安倍首相会見要旨

 安倍晋三首相の18日の会見の要旨は次の通り。

 【消費再増税の先送り】

 消費税を5%から8%へ引き上げる決断をした時から、10%へのさらなる引き上げを来年予定通り10月に行うべきかどうか、ずっと考えてきた。消費税を引き上げることによって、景気が腰折れをしてしまえば、国民生活に大きな負担をかける。税率を上げても税収が増えないということになっては、元も子もない。

 昨日、7〜9月のGDP速報が発表された。残念ながら成長軌道には戻っていない。40人を超える有識者のみなさんと、私の経済政策のブレーンのみなさんからご意見をうかがい、何度も議論を重ねてきた。そうしたことを総合的に勘案し、デフレから脱却し、経済を成長させる、アベノミクスの成功を確かなものとするため、消費税10%への引き上げを法定通り来年10月には行わず、18カ月延期すべきであるとの結論に至った。

 【先送りの理由と対策】

 7〜9月のGDP速報によれば、個人消費は4〜6月に続き、1年前に比べ2%以上減少した。現時点では、3%分の消費税率引き上げが個人消費を押し下げる大きな重しとなっている。来年10月から2%引き上げることは、個人消費を再び押し下げ、デフレ脱却も危うくなると判断した。

 国民全体の所得を引き上げ、地方経済へも景気回復の効果を十分に波及させれば、消費税率引き上げに向けた環境を整えることができる。個人消費のテコ入れと地方経済を底上げする力強い経済対策を実施する。次期通常国会に必要となる補正予算を提出する。

 【財政再建

 今回は社会保障・税一体改革法の景気判断条項に基づき、延期の判断をした。しかし、財政再建の旗を降ろすことは決してない。国際社会において我が国への信頼を確保し、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たしていく安倍内閣の立場は一切揺らがない。

 引き上げを18カ月延期し、さらに延期するのではないかという声があるが、再び延期することはないと断言する。平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく、確実に実施する。

 【衆院解散】

 国民生活と国民経済にとって重い決断をする以上、速やかに国民に信を問うべきだと決心し、21日に衆議院を解散する。消費税の引き上げを18カ月延期すべきだということ、そして私たちが進めてきた経済政策、成長戦略をさらに前に進めていくべきかどうかについて国民の判断を仰ぎたい。

 なぜ今週の解散か。国民の判断を仰いだうえで、来年度予算に遅滞をもたらさないギリギリのタイミングであると考えたからだ。厳しい選挙となることは覚悟の上だが、税制は国民生活に密接に関わっている。私たちが進めている経済政策には、賛否両論、そして抵抗もある。その成長戦略を国民とともに進めていくためには、どうしても国民の声を聞かなければならないと判断した。

 ようやく動き始めた経済の好循環の流れを止めてはならない。15年間苦しんできたデフレから脱却するチャンスを手放すわけにはいかない。デフレから脱却し、経済を成長させ、国民生活を豊かにするためには、困難であろうとも、景気回復、この道しかない。私はしっかりとこの道を前に進んでいく決意だ。

 【消費増税延期による財政再建への影響】

 財政再建の旗を降ろすことは決してない。17年4月に確実に消費税を10%へと引き上げる。20年度の財政健全化目標も堅持する。国際的な信任の問題は発生しないと確信する。

 【勝敗ライン】

 自民党公明党(の)連立与党によって過半数を維持できなければ、私たちの3本の矢の経済政策、アベノミクスを進めていくことはできない。過半数を得られなければ、アベノミクスが否定されたことになるわけだから、私は退陣する。

 【解散の理由】

 なぜ、2年前、民主党が大敗したのか。マニフェストに書いていない消費税引き上げを、国民の信を問うことなく行ったからだ。消費増税の18カ月間の延期、17年4月には景気条項を外して確実に上げる、これは重大な変更だ。国民の信を問うのは当然だ。

 【軽減税率】

 軽減税率導入に向けて、自民党公明党、両党間で、しっかりと検討させていきたい。

 【再増税の見通し】

 安倍政権発足後直ちにマイナス成長からプラス成長に転じた。私たちが進めている経済政策の成果だ。この選挙でしっかりと信任を得て、3本の矢の政策をちゃんと前に進めていけば、必ず約束を果たせると確信する。

 【エネルギー・安保】

 自民党は常に選挙において逃げることなく国民に示している。当然、エネルギー政策、原発政策、安全保障政策等についても党の公約にきっちりと書き込んで、この選挙戦を堂々と戦っていきたい。