集団的自衛権 行使容認 法整備着手へ

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政府は、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行ったことを踏まえ、関連法案の作成チームを設け、速やかに法整備に着手する方針です。一方、野党側からは「与党の協議だけで安全保障政策を大幅に変更することは容認できない」といった批判も出ており、今月行われる見通しの国会の閉会中審査では激しい論戦が交わされるものとみられます。

政府は1日、集団的自衛権の行使容認について自民・公明両党の了承が得られたことを受けて臨時閣議を開き、憲法解釈を変更して行使を容認する閣議決定を行いました。
安倍総理大臣は臨時閣議のあと記者会見し、「武力行使が許されるのは自衛のための必要最小限度でなければならないという従来の憲法解釈の基本的な考え方は何ら変わらず、武力行使の新たな3要件は憲法上の明確な歯止めになっている」と述べ、限定的な行使容認だという立場を強調しました。
また、公明党の山口代表は、「今回の閣議決定で、公明党として従来の政府の憲法解釈との整合性や法的安定性を維持し憲法の規範性を確保する役割を果たすことができた」と述べました。
そして、安倍総理大臣は、「今回の閣議決定を踏まえ関連法案の作成チームを立ち上げ国民の命と平和な暮らしを守るため直ちに作業を開始したい」と述べました。
今回の閣議決定によって、直ちに自衛隊集団的自衛権を行使できるようになるわけではありません。
政府は閣議決定に基づいて、集団的自衛権を行使できるよう、▽自衛隊法、▽周辺事態法、▽武力攻撃事態対処法などを改正するため、関係する省庁の担当者らを集めてNSC=国家安全保障会議のもとに関連法案の作成チームを設け、法整備に着手する方針です。
また、防衛省は1日夜、小野寺防衛大臣をトップに防衛省自衛隊の幹部らで作る委員会を新たに発足させ、法整備に向けた議論を開始したほか、年末までに行う日米防衛協力の指針、いわゆるガイドラインの見直しに閣議決定の内容を反映させるため、アメリカ側との調整も加速する方針です。
今回の閣議決定について、野党のうち日本維新の会みんなの党などが理解や協力の姿勢を示す一方で、民主党の海江田代表が「国会で十分に議論しないまま与党の密室での協議だけで安全保障政策を大幅に変更することは容認できない」と述べるなど、政府・与党の対応への批判や説明責任を果たすよう求める意見も出ています。
こうしたなか国会では、今月14日に衆議院、15日に参議院で、いずれも安倍総理大臣に出席を求めて予算委員会の閉会中審査が行われる見通しで、集団的自衛権の行使容認を巡って激しい論戦が交わされるものとみられます。