集団的自衛権 具体的事例提示で調整

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政府は、集団的自衛権などを巡る自民・公明両党の与党協議に、集団的自衛権の行使を容認しなければ実行できない事例など、15程度の具体的な事例を示す方針で、与党協議のメンバーとの間で調整を進めています。

集団的自衛権などを巡る自民・公明両党の与党協議は、今週の会合で、▽武力攻撃に至らない侵害、いわゆるグレーゾーン事態への対応から検討に入り、▽国連のPKO活動や集団安全保障、それに▽集団的自衛権の順に議論することを確認し、来週の会合では、政府側が、対処が必要だと考える具体的な事例を示すことになりました。政府は、具体的な事例として15程度を示す方針で、与党協議のメンバーに事前に案を示すなど、水面下で調整を進めています。
事例の案によりますと、グレーゾーン事態への対応では、日本の離島に武装集団が上陸し不法行為を行った場合への対処や、公海上でミサイルの警戒に当たっているアメリカ軍の艦船の防護などを挙げています。
集団安全保障などの分野では、PKO活動に参加するほかの国の部隊が攻撃を受けた際に、自衛隊が武器を使って救援できるようにする、いわゆる「駆け付け警護」や、国連決議に基づく多国籍軍への後方支援などを盛り込んでいます。さらに集団的自衛権を巡っては、▽日本周辺で有事が起きた際やアメリカが武力攻撃を受けた際の、アメリカ艦船の防護や、他国の不審な船舶に対する強制的検査のほか、▽アメリカに向かう弾道ミサイルの迎撃、▽シーレーン=海上交通路での国際的な機雷の掃海活動への参加などが明記されています。
一方、安倍総理大臣が設置した有識者懇談会が報告書で示した、ほかの国の潜水艦が水中に潜った状態で日本の領海に侵入し、退去要求に応じない場合への対処については、与党内に、グレーゾーン事態への対応の事例として示すべきだという意見がある一方で、「海上自衛隊が警察権を行使して対応すれば十分だ」として否定的な意見もあり、調整が続いています。