集団的自衛権 焦点は与党協議に

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安倍総理大臣は、憲法解釈の変更によって限定的に集団的自衛権の行使を容認することを視野に検討を進め、与党協議に入る考えを表明し、焦点は与党協議に移りました。
政府は与党側に対して、集団的自衛権の行使を容認しなければ実行できない具体的な事例などを示し、調整を急ぐことにしています。

集団的自衛権の行使を巡って、安倍総理大臣が設置した有識者懇談会は15日、憲法解釈を変更し、行使を容認するよう求める報告書を安倍総理大臣に提出しました。これを受けて安倍総理大臣は記者会見し、行使の容認に向けた政府としての基本的方向性を説明しました。
この中で、安倍総理大臣は「日本の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるという考え方は、従来の政府の基本的な立場を踏まえたものだ」と述べ、憲法解釈の変更によって、限定的に集団的自衛権の行使を容認することを視野に検討を進め、与党協議に入る考えを表明しました。そのうえで、安倍総理大臣は「『日本が再び戦争をする国になる』といった誤解があるが、そんなことは断じてありえない。憲法が掲げる平和主義はこれからも守り抜いていく」と強調しました。
今後の与党協議について、国家安全保障を担当する礒崎総理大臣補佐官は15日夜、NHKの番組で「一つ一つ事例を示しながら与党と議論する。どこまでが許され、どこからはだめなのかということを、しっかりと慎重に時間をかけて議論してほしい」と述べました。政府としては、集団的自衛権の行使容認に慎重な姿勢を堅持する公明党の理解を得るために、行使を容認しなければ実行できない具体的な事例などを示し、調整を急ぐことにしています。
自民・公明両党は、15日の安倍総理大臣の記者会見を受けて、自民党の高村副総裁と公明党北側副代表を中心に、両党の幹事長らも加わったメンバーで、来週の20日にも協議を始めることにしています。
初会合では、政府から有識者懇談会の報告書の内容や基本的方向性の説明を受けたうえで、公明党も必要性に理解を示している、武力攻撃に至らない侵害、いわゆるグレーゾーンへの対応から検討に入ることを決める見通しです。
一方、焦点の集団的自衛権の行使容認を巡っては、自民党内から「ことしの年末までに行う予定の、日米防衛協力の指針=いわゆるガイドラインの見直しに間に合うよう、秋までに合意して、憲法解釈の変更を閣議決定したい」という声が出ています。
これに対し公明党は、山口代表が15日、「今までの憲法解釈で対応できるものが相当ある」と指摘し、安倍総理大臣が検討を求めた事例の多くは個別的自衛権や警察権の範囲内で対応が可能だとしていて、双方の主張の隔たりは埋まっていません。
両党は今後の協議で、グレーゾーンへの対応の検討と平行して、水面下で集団的自衛権を巡る調整を進めることにしていますが、今のところ一致点を見いだせるめどは立っておらず、難航することが避けられない見通しです。