集団的自衛権の閣議決定、国会閉会後の方向 公明に配慮

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 安倍政権は他国を武力で守る集団的自衛権行使を容認する閣議決定の時期について、6月22日に会期末を迎える通常国会の閉会後に延期する方向で最終調整に入った。行使容認に慎重姿勢な公明党への配慮だが、秋の臨時国会までに閣議決定する方針は変えていない。

 欧州訪問中の安倍晋三首相は7日午後(日本時間同日夜)、ベルギーブリュッセルでの記者会見で、閣議決定の時期について「期限ありきではない」と明言。「与党においてもご議論をいただきたい」とも述べ、公明党との協議を尊重する考えを強調した。また、首相は、有識者会議が来週中に提出する報告書を受けて示す「政府方針」について、「政府がどのように検討を進めるかについての基本的方向性を示す」と語った。

 与党内では、公明党への配慮として、秋の臨時国会に予定していた集団的自衛権行使容認の関連法案審議を来年の通常国会に先送りする案も検討している。自民党石破茂幹事長は、自衛隊が防衛出動する段階には至っていない「グレーゾーン事態」に関する法案審議を秋の臨時国会で先行させる可能性に言及した。公明党がこの問題を優先すべきだとしているのに配慮したものだ。菅義偉官房長官も7日の記者会見で「そういうこともありうるのではないか」とした。

 しかし、首相は秋の臨時国会召集前には閣議決定に踏み切る考え。政権幹部も「絶対にやる」と強調する。首相は集団的自衛権を政権の最重要課題に位置づけ、国会でも繰り返し言及してきた。閣議決定まで大幅に先送りすれば、この課題に取り組む機会自体を失い、首相の求心力も大幅に低下するからだ。

 ただ、国会閉会後になれば、国会での議論がないまま閣議決定が行われるおそれがある。政権はその場合、閉会中審査を開くことを検討するが、審議時間を十分に確保できないという懸念がある。

 首相は閣議決定後、内閣改造し、秋の臨時国会に臨む考え。首相側近は「常識的に言って夏の遅いタイミングだ」と述べ、8月後半から秋の臨時国会開始前を示唆している。