教育委員会制度見直し巡り与野党が議論

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NHKの日曜討論で、教育委員会制度の見直しを巡り、自民・公明両党が責任の所在を明確にし、自治体の長の意見を反映できるようにしたいと理解を求めたのに対し、民主党日本維新の会は、いじめの問題などを解決するため権限を自治体の長に一元化すべきだと主張しました。

教育委員会制度の見直しを巡っては、政府が教育委員長と教育長を一本化した新たな「教育長」を置くことなどを盛り込んだ地方教育行政法の改正案を国会に提出しているのに対し、民主党日本維新の会教育委員会を廃止して自治体の長に権限を一元化するなどとした対案を共同で提出しています。
自民党の遠藤教育再生実行本部長は「今の教育委員会制度は、いじめ事件などへの対応が、なかなかできないことや、責任者が誰か分からないこと、それに自治体の長が公約で訴えたことがなかなか教育行政に反映されないことが大きな問題点だ。新しい教育長を置くと同時に自治体の長に任免権を与え、総合教育会議をつくって自治体の長の意見をしっかりと反映できる形にした」と述べました。
公明党の富田教育改革推進本部長は「総合教育会議で自治体の長と教育委員会が話し合う場を設けてはいるが、教育委員会の権限をなくしてはいない。民主党維新の会の案は、自治体の長の影響がそのまま教育行政に入るので、ちょっと危ないのではないか」と述べました。
民主党の笠ネクスト文部科学大臣は「われわれの案は自治体の長と教育委員会に、教育行政の責任と権限がばらばらにある今の二元制を見直して、責任を選挙で選ばれる自治体の長に一元化するものだ。政府の案は非常にあいまいだ。政治的中立性は新たに作る独立した『教育監査委員会』が監視し、評価していけば担保できる」と述べました。
日本維新の会の中田国会対策委員長代理は「教育委員会制度は形骸化しており、いじめの問題が起きても責任者が1人もいなかった。対案では責任は自治体の長が負うが、チェックを受ける仕組みもあり、中立性は損なわれない」と述べました。
みんなの党の松沢政策調査会副主査は「今は地方分権の時代であり、自治体に1つの制度を押しつけることは分権に逆行する。複数のモデルを地方に示し、自治体が自分たちの特色に合わせて、一番いい制度を選択できるようにすべきだ」と述べました。
共産党の宮本文部科学部会長は「政府案の最大の問題点は、教育の政治的な中立を守れないという点であり、教育の独立を侵し、愛国心教育を押しつけることにつながる。チェック機関としての教育委員会の存在は極めて重要だ」と述べました。
結いの党の井出政策調査副会長は「政府案では、自治体の長と教育委員会がなれ合えば、中立性が保たれない。民主党維新の会の案は、権限を集中させた自治体の長が暴走する可能性があるのかどうか、議論を続けることが必要だ」と述べました。
生活の党の主濱副代表は「現在の制度では教育行政の責任の所在が不明瞭で、危機管理の能力も不足している。権限と責任を明確にし、地域住民の意向を適切に反映していく観点から、抜本的に見直すべきだ」と述べました。
社民党の吉川文部科学部会長は「教育委員会の一番の問題は、文部科学省の下請け機関のように机上の施策を現場に下ろし、従わない場合は処分する状態にしていることだ。保護者などの声が反映される中身にすべきだ」と述べました。