舛添陣営、緩み警戒 細川陣営、戦術再考 序盤情勢

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 朝日新聞社が25、26両日に実施した東京都知事選の情勢調査で、舛添要一氏(65)が細川護熙氏(76)ら他の候補をリードしていた。自民党の支援で手堅く支持を広げる舛添氏に対し、細川氏の陣営では争点を「脱原発」に絞ることを見直す動きが出ている。

 「東京を世界一の福祉都市にしたい」。舛添氏は26日、多摩地区の街頭演説で訴えた。連日、10カ所前後で街頭演説を重ねる舛添氏。遊説日程は10分単位でつくる。全自民都議には、演説会に500人以上集めるよう、都議団の幹部から指示が出された。

 これまで、政党色の強い候補が著名人に敗れてきた都知事選。「舛添氏の隣に与党幹部と都議がずらっと並び、『組織VS.民意』という構図は避けたい」(自民党幹部)と、当初は政党が前面に出ることにとまどいがあった。

 だが、「舛添氏優位」との報道が相次ぐと、党幹部の間に自信が漂い始めた。公明党幹部は「細川氏と宇都宮氏の『脱原発』陣営が一本化できなかったのが大きい」と分析。高い内閣支持率を背景に、与党のそろい踏みを印象づけようと、安倍晋三首相、山口那津男公明党代表が舛添氏と並んで演説する日程調整にも乗り出している。

 とはいえ、無党派層が多い大都市選挙だけに、気になるのは世論の風向き。舛添氏は厚生労働相などを経て知名度が高く、無党派層にも浸透するが、自民党選対幹部は「調子に乗って失言しないように、毎日、舛添さんに注意している」と明かす。

 舛添氏を追いかける細川氏の陣営幹部は「なかなか上がってこないが、これからだ」と言う。

 正式な政策発表は告示前日の22日と出遅れた。告示前に企画された討論会への出席を断ったことなどの影響で、認知度が上がっていないと受け止める。陣営の政治家側と、反原発の市民団体の連携が不十分とみる関係者もいる。

 「脱原発」の一点に訴えを絞り込む「シングルイシュー」選挙戦術の見直しも検討し始めた。朝日新聞の調査では、重視する政策で「原発やエネルギー」は3番目。他メディアの調査でも同様の傾向がみられ、陣営幹部は「脱原発が争点になりきっていない」と認める。

 細川氏も演説内容を変え始めた。告示直後は大半を原発問題に費やしていたが、26日、池袋駅東口での演説では「東京で大きな問題は福祉関係。先進的な取り組みを取り入れたい」と訴え、福祉や五輪、防災に半分程度の時間を割いた。

 ただ、隣で応援に立つ小泉純一郎元首相(72)の演説は、ほぼすべてが原発。小泉氏の方が聴衆の反応が良く、小泉氏との連携をアピールする戦術は変えられない。ある陣営幹部は「街頭は小泉さん目当てが多い」と認め、「役割分担でやっていく」と話す。

 細川氏と同じ脱原発を訴える宇都宮健児氏(67)。陣営幹部は「脱原発を求める市民の支持が割れているようだが、こちらに戻ってくれると信じている」と受け止める。細川氏に対しては「若者の雇用や子育て、福祉など幅広く政策を語っている」と差別化を図る考えだ。「掲げる政策は都民の思いと方向性が同じで、さらに訴えれば立て直し可能だ」としている。

 田母神俊雄氏(65)の陣営は「中高年層にまだ十分浸透し切れていない」と受け止める。災害時の自衛隊の活用や、教育政策の見直しを掲げているが、「防災や福祉の政策に重点を入れ訴えていく」とする。