福島県知事「希望者の帰還支援を」

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原発事故からの復興に向けた与党の提言をまとめた自民党の大島前副総裁らは、福島県を訪れて佐藤知事と会談しました。
この中で、佐藤知事は「帰還困難区域」についても、最終的には帰還を希望する住民全員が戻ることができるように支援を要請しました。

自民・公明両党は、東京電力福島第一原子力発電所の事故からの復旧や復興の加速に向けた提言をまとめて11日、安倍総理大臣に提出し、この中では長期にわたって帰還が難しいとされる「帰還困難区域」の住民が、将来、帰還するかどうか判断する材料として、除染の効果や帰還できる時期の見通しを明確に示すことなどを求めています。
自民党の東日本大震災復興加速化本部長を務める大島前副総裁らは12日、福島県庁を訪れ、佐藤知事らに提言の内容を説明しました。
この中で、大島氏は「国がより一歩前に出て、政府・与党一体となって、避難者の帰還や新しい生活を選びたい人への支援に当たり、復興を加速させたい」と述べ、理解を求めました。
これに対し、佐藤知事は「福島県としては、『最終的には、ふるさとに帰りたい』という思いを抱いて避難している人たちが、しっかりと帰還を果たせるよう取り組んでいく覚悟だ」と述べ、「帰還困難区域」についても、最終的には、帰還を希望する住民全員が戻ることができるように支援を要請しました。
また、佐藤知事は福島県内の除染で、年間1ミリシーベルト以下の被ばく線量を長期的な目標としていることは堅持すべきだという考えを示したうえで、住民の不安を払拭(ふっしょく)するため、放射線が健康に与える影響を丁寧に説明するよう求めました。
会談のあと、大島氏は記者団に対し、「被災者にしっかりと寄り添い、新たな生活を判断できるような材料を示していかなければならないという思いを持った。復興を着実にスピード感を持って進められるよう、県などとも力を合わせてやっていきたい」と述べました。
大島氏らは、13日は福島県郡山市を訪れ、原発事故で避難指示が出ている地域の市町村長と会談して、提言の内容を説明することにしています。
自民党の大島前副総裁との会談を終えたあと、福島県の佐藤知事は「去年、成立した福島復興再生特別措置法では、すべて避難した住民の帰還を支援するという前提だったが、2年9か月を迎えるなかで住民の意向が違ってきている面もある。希望する人が将来的に帰還できるようにするという方針は変わらないが、丁寧に住民の話を聞き、それぞれの意向に沿うような対策を進めていきたい」と述べ、帰還せずに新しい土地での生活再建を選ぶ住民に対する支援が必要だという考えを初めて示しました。
また、今回の提言が除染や原発の廃炉作業、汚染水対策などに国が資金を拠出するよう求めていることについて、「これまで政府に対し、前面に出るよう求めてきたことを加速させてくれたと思う。現場に政府の人間がいるぐらいの対応をしてほしい」と述べ、政府側に具体的な対応を求めました。